【はじめに】
「味を感じにくい」、あるいは「変な味がする」など味覚の変化として自覚しやすい「味覚障害」は、一般的に高齢者に多く認められる症状ではありますが、ストレスや偏食などの影響に伴って若年層でも引き起こすことがあります。
年間24万人の患者が味覚障害を事由にして医療機関を受診すると言われており、高齢化が進むにつれて味覚障害自体がフレイルを引き起こす原因になることから、今後にかけて味覚障害における診療ニーズはますます増加していくと考えられています1)。
そして、これまで積み重ねられてきた知見から、マグネシウムの欠乏が急性心筋梗塞や脳血管疾患などの生活習慣病に加えて味覚障害の発症などに関与している可能性が指摘されています。
従来から本邦では日常生活内で積極的に意識してマグネシウムを摂取している方は比較的少なく、マグネシウムの摂取量が減少することで様々な病気に陥りやすいことが問題視されてきました。
そういった背景を受けて、近年では効率よく簡便にマグネシウム成分を補うことができるマグネシウムサプリメントやマグネシウムクリームという製品を日常的に活用する人も数多く存在しています。
今回は、味覚障害にならないために日常生活においてマグネシウム製品を取り入れる重要性について説明します。
【第1章】味覚障害とは?
通常では、味に対する感度が鈍くなる症状全般を「味覚障害」と呼んでいます。
一般的に、口に入れた食べ物の味を脳に伝達する役割を有している「味蕾」という味覚受容器の数が加齢などに伴って減少すると、味覚が減退して味覚障害を呈することに繋がります。
味覚異常の原因のほとんどが味蕾減少によるものですが、稀に脳腫瘍や手術などが原因で神経に異常が認められて味が判別しにくくなる神経性味覚障害も存在します。
味覚障害に関する詳細な原因については、未だ十分に解明されていませんが、主に加齢、栄養不足、薬剤の副作用、慢性疾患などが関連要素として知られています。
特に、ダイエットや偏った食生活による栄養不足を背景として、味蕾の新陳代謝に必要とされている「亜鉛」という栄養素が不足すると、味覚障害が引き起こされることがあります。
亜鉛の他にも、鉄分の摂取不足に伴ってハンター舌炎と呼ばれる舌表面が赤くつるつるになる変化を来して、味覚障害が出現する場合も考えられています。
同時に、鉄を効率よく体内に吸収するためには「ビタミン」が関連しており、特に「ビタミンB12」の摂取が慢性的に不足していると、舌粘膜に異常を呈して、味覚障害に陥ることが考えられています。
一般的に、味覚障害における症状は、「味覚低下」と「異味覚」の2種類に分けられています。
前者の味覚低下とは甘味、酸味、塩味、苦味、うま味といった味覚が減退する、もしくは全く感じなくなる症状を指しており、後者の異味覚とは本来感じるはずのない味を感覚として捉えてしまう症状のことを意味しています。
【第2章】味覚障害にならないためにマグネシウム製品を取り入れる重要性
通常では、亜鉛や鉄分などの栄養状態を評価するには、血液検査で簡便に調べることができますし、味覚障害の原因として病気の存在が疑われる際には、直接的な原因となる疾患そのものに対する治療を実施することが重要な観点となります。
仮に、栄養不足と診断された場合には、亜鉛薬や鉄剤、あるいはビタミン剤が処方されることもありますし、原因が特定できない場合には、漢方薬などが推奨されることもあります。
栄養不足が原因となっている味覚障害では、不足栄養素を補給することで、すぐに症状の改善が認められることがありますし、薬の副作用で味覚障害を呈しているケースでは、原因薬を中断することで味覚が改善する場合がほとんどであると考えられています。
そして、マグネシウム自体は血液中に約1%程度しか存在していないものの、これまでの数々の研究によって重要な生体因子のひとつであると言われています2)。
人間の身体の内部では、マグネシウムという成分は通常では多くの酵素を活性化する重要な役割を担っており、生命維持に必要な様々な代謝機構に関与しているファクターと言われています。
マグネシウムは、ミネラル成分のひとつであり、体内で多くの酵素の働きを助けていると同時に、実際にエネルギー産生機構に深く関与しております。
通常では、マグネシウムは主に植物性・動物性食物、そして飲料に広く含まれているとされており、ホウレンソウのような緑色の葉野菜、マメ科植物、ナッツ類なども優れたマグネシウム成分の供給源となり得ます。
一方で、最近では健康志向が高まる中で、自分の食生活に不安を抱く人や健康増進を深く求める方々がいわゆる健康食品の一つであるサプリメントに期待をかけて、日常的に摂取されています。
生体の微妙な恒常性の維持をしている観点から、マグネシウムという物質は広範囲にわたって我々の身体において深く機能しているがゆえに昨今でもサプリメントなどの健康食品類が注目されているのです。
また、これまでにオーソモレキュラー医学会はマグネシウム摂取の必要性を度々に渡って強く訴えており、極端な緩下作用を生じずに適量でマグネシウムを取り入れる方法として経皮マグネシウムを推奨しています。
日本人はマグネシウム不足になりやすく、半数以上の方が理想値には達していないことからも、食事やサプリメント以外の方法で毎日でも使用できる経皮マグネシウムクリーム製品が勧められています。
こうした観点から、味覚障害にならないためにも普段から最低限のマグネシウムを摂取することが重要であり、その手段としてサプリメントや経皮的クリームなどのツールを上手く活用する必要があると考えられます。
【まとめ(おわりに)】
一般的に、加齢に伴って味を伝達する受容体の役目を果たしている味蕾の数が減少すると、味覚障害を生じると考えられており、その味覚障害の症状としては、味を感じにくくなる「味覚低下」、あるいは異常な味を感じる「異味覚」に分類されています。
高齢者が罹患することが多い症状にはなりますが、若い世代でもストレスや偏食などが原因で味覚障害を認めることがありますので、万が一にも「味を感じにくい」、「変な味がする」などの症状を自覚した際には、早期的に医療機関を受診するように心がけましょう。
また、味覚障害を予防するためには、日々の食生活が重要であり、例えば栄養バランスを良好に食べる、亜鉛や鉄分が多く含まれる食品を積極的に摂取する、たんぱく質やビタミンを摂取して鉄分吸収率を向上させるなどの工夫策を講じることが重要なポイントです。
そして、私たちのからだの中に確かに存在して色々な生命活動をサポートしてくれているミネラルの中でも、特に現代の人々における心身の健康のために欠かせない代表格が、「マグネシウム」です。
マグネシウムは人体を構成するミネラルの中でも必要量が最も多く、現代人の食生活では不足しやすい栄養素であるので、自分に適したサプリメントや経皮吸収型クリームなどの製品を選択して補給することを心がけることが重要です。
今一度日々の食事内容や生活習慣スタイルを見直しながら、マグネシウム成分の摂取方法を工夫することによって味覚障害を引き起こさないためにも有意義な生活をみんなで過ごしましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
1) 任 智美:味覚障害の診断と治療. 日本耳鼻咽喉科学会会報. 2019 年 122 巻 5 号 p. 738-743.
DOI https://doi.org/10.3950/jibiinkoka.122.738
2)貝原俊樹ら:低カリウム血症, 低マグネシウム血症により多型性心室頻拍, 心肺停止となった1例.心臓. 2015 年 47 巻 SUPPL.1 号 p. S1_50-S1_54.
DOI https://doi.org/10.11281/shinzo.47.S1_50
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。