【はじめに】
心臓という臓器は全身に血液を送り出すポンプの役割として一日中、休むことなく働き続けています。
一般的に、心不全とは「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と考えられています。
心不全には様々な原因や自覚症状があり個人差もあります。
そして、近年ではマグネシウムの欠乏が高血圧や心筋梗塞症、糖尿病、脳血管疾患、腎疾患など心不全の原疾患となり得る病気の発症に関与していることが分かってきています1)。
マグネシウムは昔ながらの日本食から豊富に摂取できると知られています。
一方、近年では効率よく簡便にマグネシウム成分を補うことができるマグネシウムサプリメントやマグネシウムクリームという製品を日常的に活用する人も数多く存在しています。
今回は、心不全にならないために普段からマグネシウム製品を取り入れる重要性などについて説明します。
【第1章】心不全になる原因とは?
心不全は、医学的には心筋、心内膜疾患、弁膜症、冠動脈疾患、大動脈疾患、不整脈、内分泌異常などの多種多様な要因により引き起こされます。
これらの基礎疾患の存在によって、長期に渡り心臓に負担がかかったことで心臓の働きが弱くなってしまうのです。
心不全においては症状が出現するようになると、息切れや疲労感、呼吸困難感、足を中心としたむくみなどの兆候が目立つようになります。
心不全の原因は、大きく分けて心臓自体に問題がある場合、あるいは心臓の機能に間接的な悪影響を及ぼす要因がある場合の2種類に分類されます。
心臓の筋肉を養っている血管である冠動脈が詰まってしまう心筋梗塞や狭心症、または動脈硬化や塩分の摂り過ぎなどが原因で高血圧を罹患してそれが基盤になって心不全を発症する人も見受けられます。
また、心臓へ間接的に悪影響を及ぼす原因としては、貧血、甲状腺機能亢進症などの内因的要素が挙げられます。
あるいは、腎機能の低下によって体液量(血液量)が増えることで心臓に過度の負担が生じた結果として心不全を引き起こすことも少なくありません。
それら以外にも、一部の抗がん剤やアルコールなどは心臓の筋肉にダメージを与えることがあることが知られています。
また、マグネシウム成分は動脈硬化など様々な疾病とも密接に関連しており、必要なエネルギー栄養素であるマグネシウムが生体内で不足すると、虚血性心疾患、高血圧や糖尿病に罹患しやすく心不全にも患いやすくなるという考え方も普及してきています。
ここ最近になって、健康維持増進と長寿に不可欠な「アンチエイジングミネラル」としてマグネシウムは注目されており、食事などからのマグネシウム摂取不足が高血圧を始めとして心不全の発症要因のひとつとして深く関わっていることが判明しつつあります。
マグネシウムは日々の生活において栄養状態悪化時などにも浪費されやすく、食事から得られる糖質成分をエネルギーとして燃焼させる際に大量に消耗されます。
必要なエネルギー栄養素であるマグネシウムが数々の理由で生体内において不足しますと、食品の体内利用に異常反応をきたす結果として心不全を襲来させることに繋がると伝えられています。
【第2章】心不全にならないためにマグネシウム製品を取り入れる重要性
体内で血液が滞るうっ血状態が進んで腹部膨満、そして呼吸が苦しくて横になって眠れない起坐呼吸といったような危険な心不全症状を予防するには、心臓に負担がかかる病気をひとつひとつ予防して規則的な生活習慣を送ることが重要な視点です。
昨今では、高血圧や糖尿病、あるいは慢性腎臓病などの病気から心不全状態に陥る人が年々増えており、心不全は一度発症すると、否応なしに入退院をくり返すことで健康寿命を縮めると言われています。
また、喫煙歴や飲酒習慣、あるいは普段から塩分を取り過ぎるなどの生活スタイルも心臓に負担をかけることになりますので十分に注意することをお勧めします。
そして、従来の研究によるとマグネシウムに関する身体内における代謝機構が高血圧、脂質代謝異常、虚血性心疾患や不整脈、そして心不全などの循環器疾患の成因と病態に関与している可能性が指摘されてきました2)。
マグネシウムは、人体にとって必須のイオンとされており、日々の健康と生活を支えて維持するのにとても有益な役割を有しています。
原則として、マグネシウムなどのミネラルそのものは基本的には体内で十分な量を作ることができませんから、食品などから摂取する必要があります。
過去には食事からのマグネシウム摂取量の増加は心不全の一因として知られている冠動脈疾患の発症リスクを低下させるというエビデンスが示されました3)。
このように重要な役割を有しているマグネシウムはアオノリ、昆布、ヒジキなどの海藻類、大豆、納豆などの豆類、しらす干し、干しエビ、アサリなどの魚介類、アーモンドなどの種実類などに多く含まれていると伝えられています。
ところが、最近では必須ミネラルの栄養素である「マグネシウム」が慢性的に摂取不足に陥っている人が増えていると頻繁に聞かれます。
マグネシウムは脳や骨格筋のみならず、心臓においても重要な生理学的役割を果たしていると信じられています。
生命の基礎ミネラルとも言えるマグネシウムが不足すると、様々な体調不良を引き起こし、心機能が低下して心不全の罹患などに繋がる可能性が伝えられています。
万が一、食事などで十分な量を取れない場合には市販で販売されて容易に手に入るサプリメントを活用する方法もあります。
最近では日常生活においてサプリメントを摂取する重要性は徐々に周知されており、成人に関してはマグネシウム(クエン酸マグネシウムや塩化マグネシウム)の成分を1日当たりに概ね400 mg前後を摂取することが推奨されています。
そして、これまでにオーソモレキュラー医学会はマグネシウム摂取の必要性を度々に渡って強く訴えており、極端な緩下作用を生じることなく適切な用量でマグネシウムを取り入れる方法として経皮マグネシウムを推奨しています。
特にマグネシウム不足が叫ばれている本邦の日本人では、食事やサプリメント以外の方法で毎日でも使用できる経皮マグネシウムクリーム製品が勧められますね。
総合的に考慮すると、心不全を予防するためには普段から意識して食べ物やサプリメント、あるいは経皮吸収型クリーム製品などからマグネシウム成分を摂取する必要性があると言えます。
【まとめ(おわりに)】
心不全は、様々な生活習慣に関連するリスク因子などによって心臓の働きが不十分となり、体の主要な臓器のいろんな部位に負担がかかって多彩な症状が出現します。
したがって、心不全の悪化の引き金になるような因子は、患者さんの日々の生活の中で心がければ回避することができるものはありますから、普段からよく意識してリスクファクターをひとつでも軽減できるように心がけましょうね。
例えば、喫煙、飲酒、塩分過多、そして過労や多大なストレスでも心臓にとっては過剰な負担がかかると考えられています。
そして、我々の体内ではミネラル成分が様々な身体機能を正常に保つために多彩な役割を担っていますが、中でも近年において生活習慣病をはじめ心不全の予防対策として重要な位置づけとして考えられているのが「マグネシウム」です。
もし周りに心不全に関して心配している人がいたら、十分にバランスの取れた食べ物を毎日の中で規則正しく取り入れることを推奨すると同時に、特にマグネシウムを中心としたミネラル成分の栄養素を前向きに摂取するように教えてあげて下さいね。
そして、日々の食事内容やサプリメント栄養、経皮吸収型クリームなどを上手に活用してマグネシウムの摂取方法を工夫することで心不全にならないように実り多い有意義な生活を送りましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
- Altura BT, Alutura BM. Withdrawal of magnesium causes vasospasm while elevated magnesium produces relaxation of tone in cerebral arteries. Neurosci Lett 1980; 20: 323-327.
DOI https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7443079/
- 建田 早百合, 羽根田 俊, 中村 泰浩, 石田 裕則, 小川 裕二, 菊池 健次郎:慢性透析患者の動脈硬化および虚血性心疾患の成因に関わる血中イオン化マグネシウムの意義. 日本透析医学会雑誌. 1999 年 32 巻 3 号 p. 175-184.
DOI https://doi.org/10.4009/jsdt.32.175
3)Kokubo Y, Saito I, Iso H, Yamagishi K, Yatsuya H, Ishihara J, Maruyama K, Inoue M, Sawada N, Tsugane S for the JPHC Study Group. Dietary magnesium intake and risk of incident coronary heart disease in men: A prospective cohort study. Clinical Nutrition, 2017 (in press).
DOI https://doi.org/10.1016/j.clnu.2017.08.006
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。