「マグネシウム摂取と糖尿病及びインスリン抵抗性の発生率の関連性」研究論文
Diabetes Journal -2010年12月
研究概要
ノースカロライナ大学医学部の研究医たちにより、糖尿病ではなかった18〜30歳の合計4,497人のアメリカ人に対し、20年間の長期にわたって、マグネシウム摂取と糖尿病、全身性炎症、およびインスリン抵抗性の発生率との関連を調査分析。
背景
糖尿病予備軍を含めると糖尿病を患っているアメリカ人は、2010年時点において成人の45%にまで達している。
糖尿病は、心臓病と脳卒中の罹患率と死亡率のリスクを大幅に高め、失明や腎不全の主な原因にもなっている。間接的および直接的な医療費のうち約2,450億ドルは、毎年糖尿病に起因しており、その発症リスクを軽減することが大きな課題である。
マグネシウム摂取量が多いほど糖尿病の発生率が低下する可能性があることが様々な研究で分かってきているが、若い成人(18〜30歳)の実際のマグネシウム摂取と糖尿病のリスクとの関連を長期的に調べることを目的としている。
実験内容
糖尿病ではなかった18〜30歳の合計4,497人のアメリカ人に対し、20年間の長期にわたって、マグネシウム摂取と糖尿病、全身性炎症、およびインスリン抵抗性の発生率との関連を調査分析。
具体的には、マグネシウム摂取と炎症マーカー(高感度C反応性タンパク質(hs-CRP))、インターロイキン-6(IL-6)、およびフィブリノーゲンとの関連性、およびインスリン抵抗性の恒常性モデル評価(HOMA- IR)。
結果
20年間のフォローアップ期間中に、330件の糖尿病が確認され、マグネシウム摂取は糖尿病の発生率を有意に減少させる結果が得られた。
マグネシウム摂取量が最も多い人は糖尿病を発症する可能性が47%低いことが分かった。
マグネシウムの摂取量を増やすことは、インスリン感受性の改善、全身性炎症の軽減、糖尿病のリスクを大きく減少させる可能性が示唆された。
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著者について
早稲田大学理工学部卒業後、栄養関連の商品開発・情報編集などに15年以上従事。固定観念に囚われず、世界の新しい情報をいち早くキャッチし、既存のデータと組み合わせて新しい付加価値を生み出すことを心がけている。
趣味は、欧米の臨床試験データや研究論文を貪り読むこと。