妊婦・妊娠中はこむら返り(足がつる)になりやすい?
妊娠した女性の40~60%がこむら返り(腓返り)・足がつる経験を持つと言われています。 妊娠の初期や中期は比較的まだ頻度は少ないですが、妊娠後期、週数が進むにつれて多くなり、出産後には、こむら返り(腓返り)の頻度は元に戻ります。
アメリカでも、こむら返り(腓返り)は妊婦において非常に一般的な症状であり、妊婦のほぼ半数が妊娠後期(28-40週)までにこむら返り(腓返り)、足がつる経験をしています。※
※元データ「Danforth’s Obstetrics and Gynecology」
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妊婦・妊娠中のこむら返り(腓返り)・足がつるのはいつ起こる?
こむら返り(腓返り)や足がつる状況は、基本的には夜眠りにつく頃に発生し、ふくらはぎ、足に強い収縮が起こります。長時間、同じ体勢で座った後にも起こりやすい症状です。
妊婦・妊娠中のこむら返り(腓返り)・足がつるのはなぜ起こる?その原因
妊婦・妊娠中のこむら返り(腓返り)・足がつるのは、妊婦特有の原因で起こるケースが多くあります。
①ミネラル(カルシウムとマグネシウム)のバランスの崩れ
妊婦はカルシウム、マグネシウムを特に必要とし消費しています。
筋肉細胞に含まれるカルシウム、マグネシウム 、ナトリウム、カリウムなどのイオンのバランスが崩れることにより筋収縮は起こりますので、積極的にカルシウム、マグネシウムを摂取するよう心がけてください。
厚生労働省が推奨する妊婦マグネシウム摂取量
厚生労働省が呼びかける「妊婦の食事摂取基準」において、人体に多量に必要なミネラル5種(カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リン)のうち、マグネシウムのみ毎日のさらなる摂取を呼びかけています。
多量ミネラル | 推定平均必要量 | 推奨量 |
カルシウム(mg/日) | – | – |
マグネシウム(mg/日) | +30 | +40 |
ナトリウム(mg/日) | – | – |
カリウム(mg/日) | – | – |
リン(mg/日) | – | – |
※元データ「妊婦の食事摂取基準」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114401.pdf
厚生労働省が呼びかける通常の摂取推奨量(mg)は女性290mg。それに対して推定摂取量は190〜213mg(2017年度)ですので、基本的にマグネシウムは足りていない栄養素です。妊婦は、マグネシウムの十分な摂取にさらなる努力が必要です。
② 血液循環の悪化
妊娠中は血液の巡りが遅くなりますが、これは正常なことであり心配する必要はありません。これは、妊娠中40週全体にわたって分泌するホルモン活動が影響しています。妊娠後期には、体の血液量も増加し、循環がさらに遅くなり、こむら返り(腓返り)や足のむくみ、足がつることにつながる可能性が高まります。
- 左を下にして寝る・・・右側を下にして寝ると、下大静脈に圧力をかける可能性が高くなりますが、左を下にした姿勢は血流や呼吸を改善されます。
- 足を可能な限り頻繁に上げる・・・足を上げて、筋肉を動かしリラックスできる時間を見つけてください。
- 夜には、足の下または足の間に枕を置く・・・抱き枕のような状況は、お腹の重さを感じにくく、足もリラックスしやすい状況をつくってくれます。
- 頻繁に立ち上がる・・・日中は1〜2時間おきに立ち上がって歩きましょう。特に1日中デスクで仕事をしている場合は心がけてください。
③ 水分不足
妊娠中は、より多くの水分摂取を心がけてください。毎日コップ8~12杯程度の水分摂取が理想的です。少し黄色がかった尿は脱水症状のサインになりますので気をつけてください(透明またはほぼ透明が理想)。
脱水は脚のけいれんを引き起こし、悪化させる可能性があります。もしこむら返り(腓返り)・足がつる症状があらわれたら、毎日の水の摂取量を増やしてみてください。
④ 体重増加
お腹の中で成長する赤ちゃんからの圧力は、足につながる神経や血管に大きな負担をかけています。週数が増え赤ちゃんが大きくなるにつれ、また妊婦自身の体重が増えるにつれ、特に妊娠後期にこむら返り(腓返り)・足がつる経験をするケースが多くなる理由の一つです。
理想的な体重を維持し、軽い運動、ストレッチ、マッサージなどの活動を続けることで、こむら返り(腓返り)・足がつることを防ぐことができます。もし頻度が多い場合は、担当医師に相談してみてください。
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⑤ 筋肉疲労
小さな赤ちゃんとはいえ、お腹の中に抱えているということは、妊婦の体に大きな負担を与えています。特に妊娠中期から後期にかけて体重が増えるにつれて負担が増し、それを支える筋肉が疲労を起こすと、こむら返り(腓返り)・足のつりにつながりやすくなります。
妊婦・妊娠中のこむら返り(腓返り)・足のつりの予防・対策
① マグネシウムを積極的に摂る
細胞間のカルシウムやカリウムなどミネラルの輸送をつかさどっているのがマグネシウム。マグネシウム摂取を増やすことにより、こむら返りの頻度や痛みを減らす臨床結果が多く出ています。
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経口よりも吸収率が良く安全性も高い経皮吸収マグネシウムも有効です。
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② 寝る前のストレッチ
夜寝る前にふくらはぎのストレッチを行いましょう。筋肉をしっかり伸ばしておくことは、こむら返り(腓返り)・足がつる症状を予防または緩和するのに役立ちます。
腕の長さ分だけ離れ、壁に面して立ちます。
目の前の壁に手を置きます。
右足を後ろに踏み出します。
かかとを常に床に置き、右膝をまっすぐに保ちながら左膝を曲げます。
右のふくらはぎの筋肉の伸びを感じるように、左膝を曲げたままにします。
最大30秒間押し続けます。
必要に応じて脚を切り替えます。
③ 水分補給
妊娠中に水をしっかり摂取することは、脱水症状を防ぐために重要です。脱水症状に陥ると、重度のこむら返り(腓返り)・足がつる症状を引き起こす可能性があります。
妊娠中は毎日8~12杯の水を飲むよう心がけてください。十分な水分補給は妊婦にとって何よりも重要ですので、しっかり実践してください。
④ ふくらはぎを温める
攣りやすい筋肉(ふくらはぎ)を温めると効果的です。攣りや痙攣を和らげることにも役立ちます。ふくらはぎをケアできるレッグウォーマーや、電子レンジで温められるタイプのもの、カイロのようなもの、何でも構いませんので、ご自身に合うものを探してみてください。
⑤ マッサージ
こむら返り(腓返り)・足がつる症状が起きた場合、患部をマッサージしてあげると痛みが和らぎます。また、血行を改善するため、こむら返り(腓返り)・足がつる症状を予防することにも繋がります。ふくらはぎを軽く揉み解すマッサージをそれぞれ3〜5分程度おこなってみてください。
マッサージしやすい経皮マグネシウムアイテムもおすすめです。
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⑥ 運動する
過度にならないよう注意する必要がありますが、妊娠中に適度に体を動かすことは非常に良いことです。
担当医師に相談して、出生前ヨガ、ウォーキング、水泳など、安全で可能なアクティビティを探してみてください。
アクティブでいることは、過剰な体重増加を防ぎ、血行を促進し、こむら返り(腓返り)・足がつる症状を予防するために効果的です。ただし、運動の前後に、常にストレッチとウォーミングアップを行うようにしましょう。
もちろん、様々な理由で運動がどうしてもできない方も多いと思います。そんな方でも、必ず1〜2時間ごとに立ち上がって歩くことを心がけてください。長時間、同じ状態でいると筋肉が収縮した状態で血行が滞りやすく、筋肉の収縮を起こしやくなります。
携帯電話にタイマーを設定するなどして、積極的に取り組んでみてください。
妊婦にとって最も大切なミネラル・マグネシウムは積極的に摂取していきましょう。より安全で効果のある経皮マグネシウムの効能をご覧ください。
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浦上武雄(Takeo Urakami)薬学博士、薬剤師
1975年生まれ 広島県出身
静岡県立大学薬学部卒業
静岡県立大学大学院薬学研究科博士課程修了
日本国内の製薬会社、アメリカ国内の製薬会社、アメリカ国内の医学研究所などで新薬の研究に従事。薬局、ドラッグストアなどでの勤務経験も活かして消費者目線と科学的な観点の両方から有益な情報をお伝えしている。
著者について
早稲田大学理工学部卒業後、栄養関連の商品開発・情報編集などに15年以上従事。固定観念に囚われず、世界の新しい情報をいち早くキャッチし、既存のデータと組み合わせて新しい付加価値を生み出すことを心がけている。
趣味は、欧米の臨床試験データや研究論文を貪り読むこと。