【はじめに】
食道癌とは、解剖学的に喉と胃をつなぐ場所にある約25cm程度の食道部位にできる悪性腫瘍のことです。
統計学的に、女性よりも男性に多いがんとして知られています。
初期段階では食道の表面から発症し始め、がんが進行すると深い層まで侵されることになります。
食道癌が進行すると、リンパ節や他臓器にまで転移してしまうために、早期発見、そして早期治療に繋げることが必要不可欠です。
発症早期の段階では自覚症状がほとんどないことから、健康診断など定期的な検診が必要になります。
そして、主要ミネラルの一つであるマグネシウムと微量元素は生命活動において重要であり必要不可欠な成分です。
マグネシウムの生理的作用は、エネルギー基質の酵素反応や神経伝達物質に関連するホルモンへの影響などたいへん多岐に渡り、生体の微妙な恒常性の維持にとってマグネシウムは広範囲にわたって深く機能していると言えます1)。
ところが、現代の食生活ではどうしても栄養バランスが偏ってしまう傾向があります。
生活習慣病の予防や健康維持にはバランスのとれた食生活が欠かせませんが、規則正しい食事を続けるのは意外と困難です。
そこで近年では手軽に栄養を補えるサプリメントの需要が高まりつつあります。
食事だけでは賄いきれない栄養成分を摂取できるサプリメントを含む栄養補助食品を毎日の生活に取り入れる方が増えています。
今回は、食道癌にならないためにマグネシウムのサプリメントを摂取する重要性などについて説明します。
【第1章】食道癌になる原因とは?
いわゆる「食道」と呼ばれる内臓は、口から食べた物を胃に運ぶ働きを持つ管状の臓器です。
一般的には、私たちの口から食べ物が入ってきた際には、食道壁が自然と動かされて食べ物が胃に送られる仕組みになっています。
食道は体の中心部にあり、その周囲には心臓や大動脈、肺といった重要な臓器に囲まれていて、粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜の4つの層から構成されています。
食道は食べ物が通りやすいようになめらかな粘膜で覆われております。
これらの粘膜が粘液を分泌しており、粘膜の下にある粘膜下層は血管やリンパ管が豊富な層と言われています。
さらに粘膜下層の下に位置する固有筋層は食道の中心にあり、食道を動かしている筋肉の役割を担っています。
食道がんは必ず表面(粘膜)に発生し、徐々に深部へ浸潤するように進行します。
食道の長さは25㎝ほどであるとされており、部位別に頸部、胸部、腹部に分けられます。
食道癌を発症させる最も大きな原因は、飲酒と喫煙です。
まず、アルコールが体内で代謝されてできる「アセトアルデヒド」という発がん性物質が食道がんのリスクになることが知られております。
特に、もともとはアルコールで酔いやすい体質であったにもかかわらず、慣れてきて飲酒量が増えてしまうと、食道がんの危険性は高まると伝えられています。
また、タバコの煙は発がん性物質をたくさん含んでいることから、喫煙者は必然的に食道癌を発症しやすくなります。
そして、タバコの煙を周囲の人が吸い込んでしまう受動喫煙も食道癌を罹患させる確率に対する影響が大きいため、十分に認識しておかなければなりません。
したがって、飲酒に加えて喫煙の習慣がある人は、さらに食道癌の危険性が高まることになりますので常日頃から意識しておきましょう。
また、特に食道腺癌の発症の原因にはピロリ菌が関係していることが近年の研究で判明してきています。
ピロリ菌は一般的には十二指腸潰瘍や胃がんの原因菌とされています。
現在はピロリ菌を除去されている方も多くいらっしゃいます。
かつての我が国では約8割以上の人がピロリ菌に感染していましたが、現在は生活環境の変化やピロリ菌の除菌により食道癌の発症リスクが低下しているものと考えられています。
また、逆流性食道炎になると逆流した胃酸が慢性的に食道を刺激するため、食道癌の発症リスクを高めると言われています。
【第2章】食道癌にならないためにマグネシウムサプリメントを摂取する重要性
食道癌では男女罹患率、死亡率に大きく差があり、男性は女性の5倍以上だと報告されています。
食道癌の発生には日常生活における飲酒行動が大きく関係しています。
したがって、食道癌を予防するために、まずはたばこを吸っている人は禁煙しましょう。
食道癌の場合には早期で発見される患者の半数が無症状であり、逆に言えば有症状では発見が遅い場合も多いと言えます。
食道癌の確立した危険因子とされるのは喫煙であり2)、禁煙することが最も重要な観点と言えるでしょう。
また、食道癌の発症には日々の飲酒習慣が関連性を有していると言われています。
例えば毎日3合の飲酒を続けた際には、食道がん以外のがんの場合は発症リスクが約1.6~1.7倍程度であるのに対して、食道癌では同量の飲酒によって約5倍もリスクが上がりますので、毎日の生活の中で出来る限り節酒するように心がけましょう。
そして、マグネシウムは、ミネラル成分のひとつであり、体内で多くの酵素の働きを助けていると同時に、実際にエネルギー産生機構に深く関与しております。
マグネシウムは、普段摂取している栄養素の合成や分解に携わる工程の他にも遺伝情報の発現、そして神経伝達の他にも免疫機能の維持などにも現実的に貢献しています。
ですから、マグネシウムが生体内で欠乏すると、様々な疾患に陥る可能性があると同時に低免疫状態から食道癌を含む発癌性のリスクが上昇するとも考えられます。
昨今では、食物のみならず普段からサプリメントを摂取する重要性は徐々に周知されており、サプリメントとしてマグネシウムを摂取する方も少なからずいらっしゃいます。
昨今では健康志向が高まる中で、自分の食生活に不安を抱く人や健康増進を深く求める方々がいわゆる健康食品の一つであるサプリメントに期待をかけて、日常的に摂取されているものと思われます。
マグネシウムは日常的に我々の生体内で補酵素として、あるいは活性化物質として凡そ300種類以上の酵素の働きを助けてくれています。
食道癌を発症しないためにも最低限のマグネシウムを摂取することが重要であり、その手段としてサプリメントを上手く活用する必要があると言えます。
【まとめ(おわりに)】
食道癌は、のどと胃の間をつなぐ臓器である食道に悪性腫瘍が発生する疾患です。
喫煙や飲酒は全体的にがんの発症に関係があるといわれていますが、食道癌に限っては他種の癌疾患よりもこれらのリスク因子が発症に大きく関係していると考えられています。
食道癌は進行が早く、リンパ節への転移が特に多く起こります。
食道がんは早期発見・早期治療ができれば、比較的良好な予後が得られると期待できますので、定期的に健康診断を受けるようにお勧めします。
そして、私たちのからだの中に確かに存在して色々な生命活動をサポートしてくれている栄養素の中でも、特に現代の人々における心身の健康のために欠かせない代表格であり癌予防効果が期待されているミネラルが、「マグネシウム」です。
特に、マグネシウム入りサプリメントは1日に必要とされている数々の微量元素が幅広く含まれており、日々の社会生活の中で不足傾向であるミネラル成分を補給するにはちょうど良い製品になるでしょう。
したがって、日々の食事内容もさることながら、サプリメントをうまく活用してマグネシウムの日常的な摂取方法を工夫することによって食道癌にならないように有意義な生活を送りましょうね。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
- 福生吉裕:マグネシウム製剤の臨床治療への有効性. 東京未病研究会雑誌. 1995 年 1 巻 1 号 p. 20-28
DOI https://doi.org/10.11288/mibyou1995.1.20
- 中島政信、加藤広行:食道癌の予防と診断・治療. Dokkyo Journal of Medical Sciences.37(3):255~262,2010
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。