【はじめに】
皆さんは統合失調症という病気をこれまでに耳にしたことがあるでしょうか。
この病気は、幻覚や妄想を代表とする精神症状や意欲や意思など自発性に関する機能低下、ならびに認知機能が衰えるなどを主体とする精神疾患です。
主に好発時期として思春期から青年期にかけて発症し、男女間で概ね罹患率に性別差はみられないとされています。
通常では男性の場合に女性と比してより重症化しやすいことが知られています。
統合失調症を発症させる理由になり得る原因として日々の生活におけるマグネシウムの摂取不足が挙げられます。
特に、マグネシウムは、人体にとって必須のイオンとされており、日々の健康と生活を支えて維持するのにとても有益な役割を有しています。
これまでの研究でも、生体内のマグネシウムは精神的ストレスにより量的に低下することから,中枢神経機能においても重要な役割を担っていることが知られていました。
今回は、多くの現代人が悩みとして抱えている統合失調症を持つ人がマグネシウムを摂取する意義について説明いたします。
【第1章】統合失調症を抱えた人がマグネシウムを摂取する重要性とは?
統合失調症は主に思春期から青年期という時期に発症しやすいとされており、その特徴的な症状によって生活の広範囲に及んで種々の障害を引き起こす精神疾患です。
統合失調症は、一言で例えるならば自分の心理や思考そのものがまとまりづらくなってしまうがゆえにその時々の気分や言動、そして人間関係などにも多大なる影響を及ぼします。
ですから、一度発症すると比較的長い期間に渡り症状をコントロールしながら周囲からの生活支援を必要とします。
そして、マグネシウムというミネラル要素は体温や血圧の調節をはじめとして、中枢神経の興奮、全身の筋肉収縮などの生理的機能の数々に関与していることが知られています1)。
また、マグネシウムの低下がうつ病や月経前の気分障害に関与していることも過去の研究より判明してきました。
さらには、大うつ症状の代表的な症状である自殺企図が現れている患者の脳脊髄液においてマグネシウムが低下しているなどをはじめとしてマグネシウムと情動障害の関連について様々な報告が挙げられます。
マグネシウムは日常の食生活により体内に必要な量を十分に維持できる可能性があるミネラルだと言われています。
しかし、現代においては過剰なアルコール摂取や栄養状態の不良、また利尿薬の長期投与などによってマグネシウム不足が生じて、さらには精神的ストレスによっても生体内のマグネシウムが量的に消費されて低下することが知られています。
ストレスが多い今の社会では、マグネシウムの低下を起こしやすい環境とも言えるでしょう。
このような背景があるからこそ、統合失調症を抱えた人がその症状を改善させるためには、「マグネシウム不足」を解決することが重要と考えられます。
【第2章】統合失調症を抱えた人がマグネシウムを摂取する手段とは?
統合失調症に特徴的な幻覚や妄想の症状は、患者さん本人にとってはかなりの現実味があってそれらが病的な異常事態だとは自覚しにくいものです。
それゆえに、周囲の近しい人々がいち早く気づいてあげることが早期発見に繋がり、ひいては早期的な治療介入の第一歩となります。
この病気は慢性的に症状が良くなったり悪くなったりして経過することが多い疾患です。
ですから、本格的な治療に際してはあくまでまずは症状緩和を図って、そのうえで通常の日々の平穏な社会生活を送ることをとりあえずの目標とします。
過去の基礎的研究によれば、低マグネシウム含有食で飼育したマウスにおいて不安感やうつ様症状を発現すること、そしてマグネシウムを投与した群で抗不安、抗うつ作用を認めたことが行動薬理学的試験により示されています2)。
したがって、マグネシウムの低下が精神障害の成因に関わっている可能性が考えられており、統合失調症の症状を改善させる意味合いでも日常的にマグネシウム成分を摂取することは重要な観点であると想像できます。
マグネシウムはアーモンドやほうれん草、豆乳、ピーナツバター、アボカドなどの食事内容に加えて、卵や牛乳、ヨーグルトなどの乳製品にも含まれています。
マグネシウム不足を解消するためには、1日大体300mgぐらいの摂取が目標になりますが、これらの食品だけで全て目標量を賄おうとするとかなり大変ですよね。
生体がマグネシウムを吸収するもっとも自然な形は食物からだと思いますが、近年ではサプリや錠剤やパウダー、グミのようなタイプも市販で普及しており、基本的には個人の好みに応じて選択すれば良いと考えます。
【まとめ(おわりに)】
統合失調症は治療によって急性期の激しい辛い症状がいったん改善して治まると、その後は回復期に移行して、徐々に長期安定的に慢性期の経過をたどるというのが一般的な流れになります。
ところが、中には症状が再燃することもありますので、状況に応じて適切な治療を無理なく継続的に遂行していくことが重要です。
時にまったく症状が出現しなくなる方もいると稀に聞くことがあります。
しかし、仮に症状が一切自覚しなくなったからといって油断して自分だけの判断で薬などを急にやめてしまうと、その後しばらくしてから残念ながら再発してしまうこともあるのです。
そして、マグネシウム物質は代謝的な血糖値の調整、あるいは骨の健康、そして神経や筋肉における機能のみならず不安や鬱傾向などの情動障害とも強い関連性があることが判明してきました。
したがって、これからはマグネシウムをはじめとするミネラルバランスを意識した快適な日常生活を過ごせるように工夫していきましょう。
できるだけ症状が出ないように必要な薬物を含む治療を続けながら、気長に病気と向き合って自分で上手に精神状態を管理していくことを心がけましょうね。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
1)糸川嘉則:カルシウム, マグネシウムの生体中での挙動.無機マテリアル.1994 年1巻252号.p420-426.
DOI https://doi.org/10.11451/mukimate1994.1.420
2)光本泰秀:マグネシウムと精神機能.IME医療教育研究所HPより抜粋.
DOI https://www.ime.or.jp/daitai/daitai04.html
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。