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急性冠症候群を抱えた高齢者がマグネシウムを摂取する意義

【はじめに】

今や、本邦では人生100歳時代に突入しています。

長い社会生活を送るうえで高齢者が自信をもって快適な日々を過ごすためには、日々のヘルスケアは必須ですよね。

一般的には、年を重ねるにつれて高血圧や脂質異常症、あるいは糖尿病などに罹患するリスクが若年層と比べて高くなります。

そのような動脈硬化リスクを多く抱えて生活習慣病になる高齢者は後を絶たず、そういった人の中にはいつ何時急性冠症候群を引き起こしかねない、または実際にすでに急性冠症候群を経験した高齢の方も少なからずいらっしゃるかと思います。

急性冠症候群とは、一言で言うと心筋の酸素不足によって胸痛発作などの症状が起こる病気を指します。

生活習慣病に関連する動脈硬化症が原因で血管の内側が狭窄して心筋への血液の供給が減少し血流が途絶えることによって、心筋が必要とする酸素需要量と酸素供給量のバランスが崩れて心筋が虚血状態となってしまうのです。

そもそも、人体にとって必須のミネラルは16種類あると言われ、このうちマグネシウムもカルシウムやカリウムなどと並んで主要なミネラルのひとつとされています。

それぞれのミネラルは、体の機能を正常に保つために様々な役割を担っていますが、中でも急性冠症候群を抱えた高齢者における生活習慣病などの予防対策として重要な位置づけにあるミネラルとして近年注目が高まっているのが「マグネシウム」です。

今回は、生命に直結するとも言える急性冠症候群を抱える高齢者がマグネシウムを摂取する意義について説明していきます。

【第1章】急性冠症候群を抱えた高齢者がマグネシウムを摂取する重要性とは?

過去には厚生労働省が健康増進法に基づいて高齢者を始めとして日本人の食事摂取基準量を規定していますが、現代人の多くが、マグネシウムの慢性的な摂取不足に陥っていると考えられています。

少し古いデータにはなりますが、2015年の本邦におけるマグネシウムの食事摂取推奨量では、1日あたりのマグネシウムの摂取量を70歳以上の男性では320㎎、70歳以上の女性では270㎎と設定するように提唱しています。

一般的には、高齢者においては若年成人と比較して食事からのマグネシウム摂取量が減少するのみならず、加齢に伴って腸管でのマグネシウムの吸収率が低下し、腎臓からのマグネシウムの排泄量が相対的に増加する傾向があります。

また、高齢者は若年者に比べて慢性疾患のみならず状態の急変に遭遇しやすく、マグネシウムの状態を容易に変化させる薬剤をいろいろ服用していることも多くみられるために、マグネシウムが体内で欠乏するリスクが上昇することが懸念されています。

さらに、マグネシウム欠乏症が進行して悪化すると、頻脈性不整脈や冠状動脈の攣縮などを生じさせる可能性があり、例えば急性冠症候群を引き起こした場合には生命に直結する危険性が潜んでいます。

一般的には、急性冠症候群を発症すると、通常であれば胸部の圧迫感や痛み、息切れなどの症状が起こります。

病院などの医療機関では心電図検査と血液中の心筋マーカーなどを測定する検査により、急性冠症候群かどうか診断されます。

治療法は症候群の種類によって多少は変わりますが、通常では冠動脈の閉塞が起きた部位に対して血流を増やす治療処置が行われます。

本邦においては国立循環器病研究センターや東京大学医学部の研究者らが日本人の食事からのマグネシウム摂取量と男性における急性冠症候群を含む冠動脈疾患のリスクに関する疫学調査1)を報告しました。

この研究では、食事からのマグネシウム摂取量の増加は日本人男性における冠動脈疾患の発症リスクを低下させるというエビデンスが示されました。

ですから、高齢者といえども普段からマグネシウム摂取量が少なくなり過ぎないように意識して、前向きにマグネシウムを摂取することに意義があると考えられます。

【第2章】急性冠症候群を抱えた高齢者がマグネシウムを摂取する手段とは?

マグネシウムは高齢者の体内にも含まれている重要なミネラル成分です。

過去に、国立がん研究センターの研究チームが、魚や大豆などの食品に含まれるマグネシウムを多く摂取している高齢者は、心筋梗塞など急性冠症候群を発症するリスクが通常に比べて34割低くなるという調査結果をまとめました。

その研究のみならず他の多目的コホート研究でも、魚や野菜・果物類、または大豆製品の摂取によって、循環器疾患の発症リスクを下げることを提唱しています。

それゆえに、普段からマグネシウムを多く含む魚や果物、野菜、豆類、海藻などを高齢者がよく食べることが急性冠症候群を予防するために望ましいということになります。

また、高齢者の方にはあまり馴染みが少ないかも知れませんが、近年ではマグネシウムサプリメントが広く普及しており、酸化マグネシウムやクエン酸マグネシウム、塩化マグネシウムなど色々な形で容易に入手できますので気軽に摂取することが出来る有用なツールです。

このような医薬品やそれ以外の経皮吸収型マグネシウムクリームなどを定期的に活用している高齢者の方は、マグネシウム摂取に関してこまめにかかりつけ医や周囲の医療スタッフたちと相談するようにしてくださいね。

【まとめ(おわりに)】

当然のことながら、心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず24時間必要とします。

その血液を心臓に送る役割を持っている血管は、大動脈が心臓の左心室から出たところで枝分かれしている左右の冠動脈です。

冠動脈が動脈硬化を起こすと、脂質異常症のみならず高血圧などが誘因となって形成される冠動脈の硬化性変化に伴って冠状動脈の血行障害が起こり急性冠症候群を発症することに繋がります。

急性冠症候群の予防や治療については、まずは基本的には日々の生活習慣スタイル、つまりマグネシウムなどのミネラルを意識した食事内容と定期的な運動による改善という観点を中心に行います。

マグネシウムは実際のところ、カルシウムの影に隠れてその重要性の認識があまり表面上に出てこない主要ミネラルと言えます。

ところが、実際には現代を生きる人々においては慢性的にマグネシウム不足している現実があり、その現実が生活習慣病の中でも特に高血圧を招き、冠動脈疾患を発症する大きなリスク因子になっていることが解明されつつあります。

過去の数々の調査から、マグネシウム含有型保湿クリームは高血圧に対しても予防効果があることを教えてくれています。

心臓の病気のなかには急性冠症候群をはじめとして一刻も早く治療しなくてはならない疾病もたくさんあります。

急性冠症候群を持病として抱えている人にとって病気と上手に付き合うためのひとつの選択肢として、食事やサプリメント以外にも経皮的吸収できるマグネシウムクリームを使用することによって症状を軽快させて、健康的で快適な生活を実践しましょう。

高齢者の方では普段から食生活においては薄味に慣れていることも多いでしょう。

三大栄養素に追加してマグネシウムなどのミネラルも主菜・副菜からでも結構ですし、サプリメントやクリームなども上手に活用して最低限は摂取できるようにしたいですね。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

1)Kokubo Y, Saito I, Iso H, Yamagishi K, Yatsuya H, Ishihara J, Maruyama K, Inoue M, Sawada N, Tsugane S for the JPHC Study Group. Dietary magnesium intake and risk of incident coronary heart disease in men: A prospective cohort study. Clinical Nutrition, 2017 (in press)

DOI https://doi.org/10.1016/j.clnu.2017.08.006

著者について

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■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。