【はじめに】
上腕骨顆上骨折とは、上腕骨の遠位部において発生する肘周囲部分の骨折のひとつを意味しています。
一般的には、本疾患は小児に起きやすい骨折と考えられていますが、成人や高齢者でも交通外傷、あるいはスポーツ活動などを契機にして罹患することもあります。
そして、カルシウムというミネラル成分が骨の原材料になっていることはよく知られていますが、実際には骨はカルシウム物質だけで構成されているわけではなくマグネシウムも骨代謝に深く関与している主要ミネラルであると考えられています。
ところが、我が国でも日常生活内で前向きにマグネシウムを摂取している方は比較的少なく、これまでにもマグネシウムの摂取量が減少することで骨折病変を含めて様々な病気に陥りやすいことが問題視されてきました。
また、近年では効率よく簡便にマグネシウム成分を補うことができるマグネシウムサプリメントやマグネシウムクリームという製品を日常的に活用する人も数多く存在しています。
今回は、上腕骨顆上骨折しないために日常生活においてマグネシウム製品を取り入れる重要性について説明します。
【第1章】上腕骨顆上部を骨折する原因とは?
そもそも肘関節部分は、上腕骨の遠位部と前腕部の尺骨、橈骨を含む筋骨格組織で構成されています。
上腕骨骨折と一言で言っても様々なタイプが存在しますが、特に「上腕骨顆上骨折」は上腕骨の遠位部で骨折病変が発症するものを指しています。
通常では、上腕骨の顆上部骨折は小児に多い骨折とされており、子どもは基本的に動きが活発であるも骨組織が完全に成熟しておらず、転倒時に肘を延ばしたまま地面に手を着く、あるいは鉄棒などから落下する機会が多いことが背景として想定されます。
一方で、成人が上腕骨顆上部を骨折する主たる原因としては、交通事故や高所からの転落、スノーボードを含むウィンタースポーツ活動際中の滑落によるものなども頻度的に増加していると伝えられています。
さらに、近年の高齢化によって骨粗鬆症を罹患している人の割合が格段に増えているため、日常生活動作の中で階段や段差につまずいて転倒することで容易に上腕骨顆上部を骨折してしまう高齢の方々も増加していると言われています。
【第2章】上腕骨顆上部を骨折しないためにマグネシウム製品を取り入れる重要性
万が一、上腕骨顆上骨折を発症するとしばしば神経麻痺を合併すると言われており1)、それ以外にも肘部の強い痛みや顕著な腫脹所見以外にも骨折箇所に変形を認める、皮下血腫などの皮膚レベルの色調変化が生じると考えられています。
特に、本疾患では患部の近隣を走行する神経や血管も同時に損傷する懸念があり、適切な治療を実施されないと骨が変形したまま自然に癒合することもあり将来的に上肢レベルに機能障害が合併する危惧がありますので十分な注意を払う必要があります。
実際には医療現場で骨折転位の重症度や臨床症状に応じて保存的療法か根治的手術加療をするかを判断することになります。
また、高齢者に発症する本疾患の背景として骨粗鬆症が強く関連していると言われており、定期的に骨密度を測定して骨粗鬆症があるかどうかを普段から確認しておくことが重要な観点となります。
そして、実際に骨量や骨密度が低いケースでは今後骨折予防のために食事療法としてカルシウム、ビタミンDなどを始めとするビタミン混合群、そしてマグネシウムを積極的に摂取することが重要であると言われています。
このように、上腕骨顆上骨折を引き起こすリスクの一因とされている骨粗鬆症は疾患そのものを予防することが非常に重要な病気であると伝えられています。
骨はタンパク質であるコラーゲン成分にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが固着して成長しており、骨密度を高めるためにはタンパク質やマグネシウムなどの主要ミネラルもたくさん摂取する必要があると言えます。
昨今注目を浴びている「サプリメント」は、ある成分が濃縮されて、錠剤やカプセルなど、通常の食品とは違う形をして作られた製品を指しており、最近ではサプリメントを通じてマグネシウムを補給する方法が一般的にも広く普及しています。
マグネシウムは、果物や野菜、そして経口サプリメントを組み合わせた食事成分として体内に摂取され、特に経口マグネシウムサプリメントに関しては成人1日あたりで約350 mgの摂取量以下であれば比較的安全域であると伝えられています2)。
また、これまでにオーソモレキュラー医学会はマグネシウム摂取の必要性を度々に渡って強く訴えており、極端な緩下作用を生じることなく適切な用量でマグネシウムを取り入れる方法として経皮マグネシウムを推奨しています。
日本人はマグネシウム不足になりやすく、半数以上の方が理想値には達していないことからも、食事やサプリメント以外の方法で毎日でも使用できる経皮マグネシウムクリーム製品が勧められています。
上腕骨顆上部を骨折しないためにも最低限のマグネシウムを摂取することが重要であり、その手段としてサプリメントや経皮的クリームなどのツールを上手く活用する必要があると考えられます。
【まとめ(おわりに)】
上腕骨顆上骨折では、発生直後における緊急的な応急処置としては、患部安静、患部冷却、患部圧迫、患部挙上の4点が大変重要なポイントであることが周知されています。
特に子どもが本疾患に罹患した際は患部を冷やしつつ上腕部を心臓より高く上げるように心がけましょう。
病院などで精査して骨が偏位しておらず血管や神経の合併損傷を認めない場合には、保存的療法を選択することが多いです。
仮に骨折によるずれが中程度と判断された時には、用手的に徒手整復を実施した後にギブスなどで関節固定して患部の安静を保ちながら骨が癒合するまで1~2か月単位で経過観察を実践することになります。
また、特に高齢者においては本疾患を発症させる背景因子として骨粗鬆症の存在が無視できず、いわゆる骨粗鬆症を未然に防ぐことが上腕骨顆上骨折を予防することに繋がります。
ですから、普段からバランスの良い食事をとることや骨の重要な構成成分であるカルシウムなどのミネラル成分をこまめに摂取することで骨粗鬆症にならないように努めましょう。
そして、私たちのからだの中に確かに存在して色々な生命活動をサポートしてくれているミネラルの中でも、特に現代の人々における心身の健康のために欠かせない代表格が、「マグネシウム」であると言われています。
マグネシウムは人体を構成するミネラルの中でも必要量が最も多く、現代人の食生活では不足しやすい栄養素であるので、自分に適したサプリメントや経皮吸収型クリームなどの製品を選択して補給することを心がけることが重要な観点となります。
今一度日々の食事内容や生活習慣スタイルを見直しながら、マグネシウム成分の摂取方法を工夫することによって上腕骨顆上骨折を引き起こさないためにも有意義な生活をみんなで過ごしましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
- 川本 祐也, 奥井 伸幸:神経麻痺を伴う小児上腕骨顆上骨折の治療経験. 日本肘関節学会雑誌. 2019 年 26 巻 2 号 p. 12-14.
DOI https://doi.org/10.24810/jelbow.26.2_12
- Guerrera MP, Volpe SL, Mao JJ. Therapeutic uses of magnesium. American Family Physician 80:157-162, 2009.
DOI http://www.aafp.org/afp/2009/0715/p157.html
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。