【はじめに】
膵石症とは、膵臓領域を走行している膵管と呼ばれる場所に形成された石のような病変のことを指します。
一般的に、膵石症が存在すると膵管の内部の圧が上昇する結果、上腹部痛や背部痛、あるいは炎症に伴う発熱症状が認められることがあります。
膵石の主成分はその他の結石病変と同様に炭酸カルシウムやリン酸カルシウムといったカルシウム成分であり、慢性膵炎を患っている方に多く認められるために膵石の有無自体が慢性膵炎の診断基準のひとつであると知られています。
そして、膵石症を含むカルシウム結石を予防するためにマグネシウムは有効な要素であるという考え方も徐々に知られてきています。
マグネシウムは昔ながらの日本食から豊富に摂取できると知られていますが、近年では効率よく簡便にマグネシウム成分を補うことができるマグネシウムサプリメントやマグネシウムクリームという製品を日常的に活用する人も数多く存在しています。
今回は、膵石症にならないために普段からマグネシウム製品を取り入れる重要性などについて説明します。
【第1章】膵石症になる原因とは?
膵石そのものの外観としては、白く硬いのが特徴的とされています。
石自体のサイズはごく小さなものから巨大なものまで様々であり、一か所というよりも膵臓全体に多発的に散在して産生される場合が多いと伝えられています。
本疾患における明確な原因はいまだに判明していませんが、主には日常的にアルコールを大量摂取することが要因とされています。
具体的には、アルコールの過剰摂取によって膵管内が固形化したたんぱく質成分で塞がれてコラーゲンやカルシウム成分が沈着して、膵石が形成されると推察されています。
それ以外にも、肝臓や胆道系における疾患や副甲状腺機能亢進症など内分泌異常による高カルシウム血症も発症契機として挙げられます。
膵石を疑われた際に、確定的な診断をつけるために推奨されている検査として、腹部超音波検査、CT検査、MRCP検査、あるいはERCPと呼ばれる内視鏡で実施される方法が選択されます。
【第2章】膵石症にならないためにマグネシウム製品を取り入れる重要性
万が一、膵石症を罹患した際の治療としては腹部症状などが安定していれば、基本的には禁酒、低脂肪食を中心とした食事療法、そして薬物療法が主な治療策となります。
特に、低脂肪の食事内容は膵液の分泌や膵臓ホルモンを抑制しますので、膵臓を一時的にでも休息させることが出来ます。
仮に初期治療で顕著に反応しない疼痛症状が長引く場合や反復性腹部症状が認められるときには、膵石自体を破砕して除去するように積極的な治療が実践されることもあります。
専門的に言っても、膵臓中心部を走行する主膵管に狭窄があって膵管内に膵石が貯留しているようなケースでは、内視鏡治療と結石破砕を組み合わせる内科的治療が第一選択であると言われています1)。
そして、マグネシウムはカルシウム結石の生成を阻害すると言われており、特に膵石症や尿路結石などを患っている方々のマグネシウム摂取量は普段から少なく、主に日常生活において野菜不足が背景にあると考えられています。
マグネシウムは健康を維持するために必須の栄養素の一つであると考えられており、アオノリ、昆布、ヒジキなどの海藻類、大豆、納豆などの豆類、しらす、アサリなどの魚介類、アーモンドなどにマグネシウム成分は多く含まれていることが知られています。
マグネシウムは1926年以来から生体にとって必須元素であると伝えられています。
基本的に、マグネシウムなどのミネラルそのものは基本的には体内で十分な量を作ることができませんから、食品などから摂取する必要があります。
一方で、食事などで十分な量を取れない場合には市販で販売されて容易に手に入るサプリメントを活用する方法もあります。
マグネシウムは、主に果物や野菜、または経口サプリメントを組み合わせた食事成分として体内に摂取されており、特に経口マグネシウムサプリメントでは成人1日あたりで約350 mg前後の摂取量以下であればほぼ安全域と考えられています2)。
そして、これまでにオーソモレキュラー医学会はマグネシウム摂取の必要性を度々に渡って強く訴えており、極端な緩下作用を生じることなく適切な用量でマグネシウムを取り入れる方法として経皮マグネシウムを推奨しています。
日本人はマグネシウム不足になりやすく、半数以上の方が理想値には達していないことからも、食事やサプリメント以外の方法で毎日でも使用できる経皮マグネシウムクリーム製品が勧められています。
総合的に考慮すると、主にカルシウム成分で構成される膵石症を予防するためには、普段から意識して食べ物やサプリメント、あるいは経皮吸収型クリーム製品などからマグネシウム成分を摂取する必要性があると言えるでしょう。
【まとめ(おわりに)】
慢性膵炎を患っている人が長い経過の中で膵臓領域に膵石症を発症すると、その病変によって膵管内の圧力が上昇して膵液の流出が妨げられることで代表的には食後の上腹部痛や背部痛、或いは発熱などの症状を自覚することに繋がります。
日常生活において、特にアルコールを頻繁に摂取する傾向がある方は膵石症にならないために禁酒を目標にする、または低脂肪の食事メニューを中心とした栄養療法を実行できるように出来る限り心がけましょう。
もし周りに膵石症に関して心配事を抱えている人がいたら、十分にバランスの取れた食べ物を毎日の中で規則正しく取り入れることを推奨し、特にマグネシウムなどのミネラル成分の栄養素を前向きに摂取するように教えてあげて下さいね。
日々の食事内容やサプリメント栄養、経皮吸収型クリームなどを上手に活用してマグネシウムの摂取方法を工夫することで膵石症にならないように実り多い有意義な生活を送りましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
- 竹山 宜典:慢性膵炎に対する外科治療:適応とタイミング. 日本消化器病学会雑誌. 2021 年 118 巻 12 号 p. 1117-1121.
DOI https://doi.org/10.11405/nisshoshi.118.1117
2)Guerrera MP, Volpe SL, Mao JJ. Therapeutic uses of magnesium. American Family Physician 80:157-162, 2009.
DOI http://www.aafp.org/afp/2009/0715/p157.html
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。