運動する人が熱中症予防にマグネシウムを摂取する意義

【はじめに】

夏期は猛暑日になることも多く見受けられて、運動する人にとっては特に熱中症が頻繁に認められる季節です。

過酷な暑熱環境のもとでは、持久的な運動パフォーマンスは一般的に低下します。

そして、劣悪な暑熱環境がスポーツにおける活動パフォーマンスに与える度合いは、暑さへの馴れや水分補給の程度、あるいは身体冷却の有無や身に付けている服装などによって異なり変化します。

それと同時に、真夏に大量の汗をかくと身体の水分はもちろんのこと、塩分やカリウム、そしてマグネシウムなどのミネラル成分なども失われてしまうことは御存知ですね。

そしてこれらの栄養素が不足すると、汗が出なくなって熱中症に陥りやすい状態になりかねないために、事前に水分や塩分、そしてマグネシウム成分を含むミネラルなどを摂取しておくことが熱中症の対策として非常に重要です。

特に、マグネシウムは、人体にとって必須のイオンとされており、日々の健康と生活を支えて維持するのにとても有益な役割を有しています。

マグネシウムは脳や心臓、そして骨格筋などにおいて重要な生理学的役割を果たしており、そのマグネシウムの摂取不足は運動する人にとっても熱中症発症という観点から密接に関連していることがこれまでの臨床研究でも明らかにされつつあります。

今回は、暑い時期に誰しもが発症するかもしれない熱中症を予防するために運動する人がマグネシウムを摂取する意義について説明いたします。

【第1章】運動する人が熱中症予防にマグネシウムを摂取する重要性とは?

熱中症については、従来から高温多湿環境下での労働や運動による活動で多く発生しており、多かれ少なかれ運動する人にとっては死活問題です。

最近ではヒートアイランド現象や地球温暖化による影響により、運動時以外に一般環境においても熱ストレス源が増大して、ただでさえ日常生活レベルにおいても熱中症が起こりやすいことが指摘されています。

周知の事実ですが、体の中の水分が不足すると、熱中症をはじめとしてさまざまな健康障害のリスク要因となります。

熱中症とは主に高温環境下での障害の総称を指し、その重症度によって通常では3種類に分類されています。

夏の暑いシーズンに皮膚から発汗することによって血液中の水分が減少することになります。

そうすると、生体内では細胞外液と内液の移動によって循環機能に支障を来さないように適切な体液管理を維持するような調整機能が働きます。

大量発汗時に水分補給を行わないと、脱水によって血液が濃縮し循環不全を起こします。

さらには、酸素や栄養素の運搬あるいは体温調節にも重篤な障害を起こして、致命的な熱中症を引き起こすことに繋がります。

夏の運動時などたくさん発汗することによってナトリウムやカリウム、そしてマグネシウムなどを代表とするミネラル成分も失われます。

運動する際に失われたミネラルを摂取することは非常に重要な観点であり、その時特に意識すべき栄養素は「マグネシウム」です。

マグネシウムは血圧や体温の調節に必要な栄養素と言われており、ナトリウムとカリウムの細胞内外のバランスを整える働きも有しています。

特にオリンピックに出場するような有名なアスリートたちも練習や試合などで非常にアクティブに運動するために多量の発汗や筋疲労を伴うことが往々にしてあります。

そうした際に、筋収縮や筋痙攣を予防して電解質バランスを整えるためにマグネシウムを摂取することが重要であることを深く認識しています。

このような背景があるからこそ、運動する人が熱中症を体の内面から予防するためには、まずは「マグネシウム不足」を優先して解消する必要があります。

【第2章】運動する人が熱中症予防にマグネシウムを摂取する手段とは?

生体内では細胞内外の電解質は、細胞膜を介した晶質浸透圧にて一定のバランスが生理的に保たれています。

運動時など大量に発汗することによって一般的には血液内から水分とナトリウムが失われます。

ですから、熱中症を予防して改善させるためには、まずはこまめに水を飲むことです。

脱水症の改善・治療目的には、水分吸収速度が非常に早い経口補水液が有効です。

一方で、脱水症になる前の予防目的であれば、経口補水液と同じく塩分や糖分を含むスポーツドリンクが良いとされています。

スポーツドリンクは経口補水に比べナトリウムが少なめでブドウ糖が多めなので、水分の吸収にやや時間を要するところが注意点です。

市販のスポーツドリンクは塩分を豊かに含んでいるため、熱中症対策や運動時の水分補給に有用です。

さらに、水分補給にスポーツドリンクが適している理由が大きく2つあります。

1つ目は、汗に含まれる主要な電解質と同様の種類の電解質を含んでいる点です。

スポーツドリンクは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムといった発汗により失われる主要な電解質を含むため、汗により失われた成分に似た要素を補給することができるとされています。

2つ目は、水よりも優れた水分補給ができる点です。

スポーツドリンクのように、水、電解質に加え、適度な糖分を含む飲料は、水のみの場合、または水プラス電解質のみの飲料よりも、血中での水分保持率が高いことが推察されています1)。

運動時は筋肉の活動で体温が上昇します。

体温が上昇して体内から大量の水分やミネラルが失われると、運動のパフォーマンスの低下にもつながるため、スポーツ時には電解質や水分の補給が特に重要です。

通常は水分摂取のみで問題はありませんが、大量の発汗になると水のみならず同時にマグネシウム成分も喪失し、筋肉の痙攣(いわゆる、こむら返り)の原因となります。

こうして運動時には、塩分のみならずマグネシウムやカリウムなどのミネラル物質が汗と共に大量に体外に排出されてしまうゆえに、特にマグネシウムとカリウムの多いミネラル水を飲むと症状予防に繋がります。

もちろん必要な栄養素はサプリメントなどでも摂取は可能ですが、せっかくなら食べ物で美味しく摂取できれば良いですよね。

日本人のマグネシウム摂取量は、平均で足りてないと言われてます。

戦後の日本人において大麦や雑穀などの全粒穀物の摂取が減ったことが原因ともいわれてます。

マグネシウムを豊富に含む食材は大豆や豆腐などの豆類のほかに海藻類などが挙げられます2)。

夏の暑い時期に熱中症の症状から解放されたいという人は、ぜひマグネシウム摂取を意識して心がけましょうね。

【まとめ(おわりに)】

定期的あるいは習慣的に運動する人にとっては、熱中症予防に最適な飲料水や熱中症時に安全かつ有用な対処法を知っておくことは重要です。

熱中症を改善させるためには単純に水分補給することが基本となりますが、同時に細胞内のマグネシウム補給は細胞を活性化させて熱中症を発症する予防策にもつながります。

もちろん、熱中症の予防は栄養と水分を普段からしっかりと取って適切な睡眠を確保して体調を整えておくことが肝要です。

熱中症を正しく予防する方法を知り、しっかりと対策して毎年の夏期シーズンを元気に乗り切ってくださいね。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

  1. Osterberg KL, Pallardy SE, Johnson RJ, Horswill CA. Carbohydrate exerts a mild influence on fluid retention following exercise-induced dehydration. J Appl Physiol. 2010; 108: 245-250.

DOI  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19940093/

2)山路力也:熱中症予防に効果的な3つの栄養素と3つの料理とは?.

DOI https://news.yahoo.co.jp/byline/ymjrky/20170723-00073620

著者について

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■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。