若年女性がマグネシウムを摂取する意義

【はじめに】

さて、これまでに耳にしたことがある人も結構多いと思いますが、マグネシウム (Mg) という微量元素は持続的かつ健全な生命活動を送るうえで重要な成分であり必要不可欠な栄養素であると言われています。

近年ではアメリカや西洋諸国において成人の一日あたりのMg摂取量が推奨値を継続的に下回っていることが知られております1)。

そして、以前より厚生労働省が健康増進法に基づいて若年女性を含めて日本人の食事摂取基準量を規定していますが、その調査によると我が国における現代人の多くの方もマグネシウムの慢性的な摂取不足に陥っていると言われています。

それぞれのミネラルは、体の機能を正常に保つために様々な役割を担っています。

その中でも若年女性特有とも言える妊娠期や若い女性が抱えやすい偏頭痛やうつ病などの病気に罹患した際に治療や予防の措置対策として重要な位置づけとして捉えられているミネラルとして最近になって特に着目されているのが「マグネシウム」です。

今回は、若年女性がマグネシウムを摂取する意義について説明していきます。

【第1章】若年女性がマグネシウムを摂取する重要性とは?

まずは妊娠、妊婦関連についてです。

若年女性の中には幸運にも妊娠して胎児を授かり、元気な赤ちゃんを出産する希望を持っている方も少なからずいらっしゃるかと想像します。

その際に、お腹の赤ちゃんがすくすくと正常に成長するためには、お母さんがたくさんの栄養素を摂取する必要があるということは誰しもが簡単に納得できるかと思います。

例えば、妊婦さんにおいては、胎児が大きくなり成長しやすくするために生理的に子宮筋が弛緩することで胃腸などの消化管の運動性が低下して、循環血液量が増えて相対的に水分の再吸収が増大するために便秘になり易いと言われています。

こうした妊娠期における妊婦さんの生理的変化や妊娠悪阻をはじめとする体調変動には、主にビタミンやミネラルの体内量が大きく関与していると最近になって考えられています。

一般的に、マグネシウムは胎児に栄養を送る基礎となる胎盤の成長や子宮筋を収縮させる調整機構が機能するために必要な栄養素であると信じられています。

胎児の成長を正常に発育させるために、そして妊娠初期の悪阻を出来る限り予防するために非常に重要なミネラルであると考えられているマグネシウムを積極的に摂取することは妊娠した若年女性にとって重要なことと言えるでしょう。

次に、偏頭痛についてです。

マグネシウムは体内の様々な酵素反応に関与していると考えられているために、細胞内におけるマグネシウム成分の不足そのものが偏頭痛をはじめとして様々な体調不良を引き起こすリスクと直結しています。

御存知の方もいらっしゃるかと思いますが、偏頭痛という疾患は、吐き気や嘔吐を自覚して、さらに前駆症状として光や音に対して非常に敏感になる兆候をともなって、拍動する強い痛みが頭部に生じて生活上で極めて支障をきたす頭痛のひとつです。

本邦では年間に約1000万人弱もの人々が偏頭痛の症状に悩まされているという試算があり、その中でもこの病気に苦しんでいる若年女性の患者さんも決して少なくありません。

このような経緯があるからこそ、偏頭痛症状を体の内面からほぐして改善させるためには、まずは「マグネシウム不足」を優先して解消する必要があると言えるのです。

最後に、うつ病に関連する事項です。

マグネシウムは特に脳や心臓、そして骨格筋などにおいて重要な生理学的役割を果たしているがゆえに、マグネシウムが不足してしまうとうつ病をも引き起こすとされています。

うつ病に関しては遺伝性やストレス、薬の副作用、ホルモン分泌異常症など様々な要因が契機となり若年女性でも発病することがあり、本邦の発症率としては全体で100人中37人とされています。

うつ病は、日常生活に強い影響が出る程気分の落ち込みが続いたり、何事にも意欲や喜びを持ったりすることができなくなる病気です。

マグネシウム不足になると、それぞれの神経細胞に必要なマグネシウム量が満たされなくなり、うつ病の主因とされている神経細胞の損傷を引き起こし、精神行動面では注意力が散漫になります。

抑うつ状態がさらに悪化することもあり得ますので、様々な観点から日常的にうつ病を抱える若年女性がマグネシウムを摂取することは重要であると言えるのです。

【第2章】若年女性がマグネシウムを摂取する手段とは?

われわれ日本人はこれまでにマグネシウム成分が多く含まれている穀物や植物性食品を諸外国よりも積極的に摂取してきた民族といわれており、現在も精米などの穀物から高頻度にマグネシウムを摂取しています。

特に、若年女性がマグネシウムを有効的に摂取するためには、当然のことながらマグネシウムを多く含む食品を積極的に摂ることが必要であります。

マグネシウムは多くは腸管から再吸収されて、そのほとんどは具体的には遠位空腸や回腸などの小腸で吸収されると言われています。

ですから若年女性においても日々の食事をする面では、体調が悪い場合やひどい下痢症状がある場合を除外して、自分が出来る範囲で豆類や野菜類、そして海藻類などの食物繊維の比較的多い食材を前向きに摂取する必要があると言えるでしょう。

さらには、ひとつの食品から一度に大量に摂ろうとするだけでなく、それ以外にも市販店などで容易に手に入るサプリメントや近年注目され始めている経皮吸収型クリーム製品などさまざまな種類のマグネシウム製品を組み合わせることで有効的にマグネシウムを摂取できるとも言えます。

ちなみにマグネシウムは、果物や野菜、または経口サプリメントを組み合わせた食事成分として体内に摂取され、特に経口マグネシウムサプリメントは、成人1日あたりで約350 mg(マグネシウム元素量)の摂取量以下であれば安全域と考えられています2)。

【まとめ(おわりに)】

マグネシウムは、人体にとって必須のイオンとされており、日々の健康と生活を支えて維持するのにとても有益な役割を有しています。

精神的にも不安定になりやすい妊娠期に妊娠悪阻を何とか改善したい、あるいは元気な赤ちゃんを無事に出産したい若年女性の方はマグネシウムをはじめとするミネラル摂取を意識した快適な日常生活を過ごせるように工夫しましょう。

そして、若年女性では頭痛やうつ症状と上手に付き合っていくために、食事内容やサプリメントをうまく活用することによって症状を軽快させて実り多い生活を送りましょう。

また、これまでの過去に行われた数々の研究によれば、マグネシウム含有型保湿クリームは妊婦さん、そして偏頭痛やうつ病を抱える人に対して前向きな効果を示すことが期待されています。

マグネシウム不足の要因に心当たりのある方や慢性的に頭痛に悩まされている人、そして毎日気分が優れずにうつ症状に苦悩されている若年女性の方々はマグネシウムオイルを塗る習慣を身に付けることを検討してみてくださいね。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

1)小林奈通子:マグネシウム栄養の温故知新欠乏応答,吸収輸送,輸送体—.日本土壌肥料学雑誌.2017881.p53-59.

DOI https://doi.org/10.20710/dojo.88.1_53

2)Guerrera MP, Volpe SL, Mao JJ. Therapeutic uses of magnesium. American Family Physician 80:157-162, 2009

DOI http://www.aafp.org/afp/2009/0715/p157.html

著者について

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■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。

■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。