【はじめに】
腰椎圧迫骨折とは、腰椎の椎体と呼ばれる部分に外力が加わることによって引き起こされる骨折病変のことを意味します。
例えば、交通事故などで突発的に生じる強い外力が原因で発症することもありますし、基礎疾患として骨粗鬆症や悪性腫瘍の骨転移などによって椎体の骨そのものが脆弱化することで、非常に弱い外力のみが加わっただけでも引き起こされることもありえます。
さらに、腰椎の内部には構造的に脊髄と呼ばれる重要な神経が走行しており、ひどい場合には腰椎圧迫骨折を生じて変形した椎体骨などがこれらの神経を圧迫することで骨折による腰痛症状以外にも下半身のしびれや筋力低下などの神経障害を認めることがあります。
一般的に、カルシウムが骨の材料になっていることはよく知られていますが、実際には骨はカルシウム物質だけで構成されているわけではなくマグネシウムも骨代謝に深く関与している主要ミネラルであると考えられています。
我が国でも日常生活内で前向きにマグネシウムを摂取している方は少なく、これまでにもマグネシウムの摂取量が減少することで様々な病気に陥りやすいことが問題視されてきました。
そんな中で、近年では多種多様のミネラルを同時に効率よく簡便に補うことができるサプリメントという製品によってマグネシウム成分を摂取する人も数多く存在しています。
今回は、腰椎圧迫骨折しないためにマグネシウムサプリメントを摂取する重要性について説明します。
【第1章】腰椎圧迫骨折する原因とは?
腰椎圧迫骨折は、主に腰椎の椎体と呼ばれる部位に一定の外力負荷がかかることによって椎体が上下方向から物理的に圧迫されて腰椎が潰れた状態に陥ってしまう病気を指します。
本来であれば、椎体自体は体の根幹部を支えるためにもともと非常に強固な解剖学的構造を呈していますが、万が一にも交通事故や転落外傷などによって非常に強い外力が作用すると耐え切れずに骨折病変が生じることになります。
また、患者背景として骨粗鬆症や癌の腰椎転移などによって椎体の構造がもともと通常よりも脆く変化しているケースでは、単純に尻餅をつく、腰をひねる、重い荷物を急に持ち上げるなどわずかな外力が加わっただけで骨折に繋がることもあります。
本疾患の多くは骨が脆弱になりやすい高齢の女性に起こるとも言われており、近年の高齢化を背景として腰椎圧迫骨折は疫学的に増加傾向にあって社会問題として寝たきりの原因のひとつにもなりうる恐ろしい病気と言えます。
年齢を重ねると自然と骨粗鬆症を発症しやすくなり、バランス感覚も保ちづらくなってしまうがゆえに、ふとしたことでつまずいて自分で転んだりすることを契機として腰椎圧迫骨折を罹患することもあります。
特に高齢者では元来筋力も低下傾向であり一度腰椎圧迫骨折を発症してしまうと寝たきりの廃用症候群になってしまうリスクがある1)ため、原則的には安静保持して腰部の疼痛が緩和されたのちに早期的に前向きなリハビリテーションを実践することが重要な観点です。
【第2章】腰椎圧迫骨折しないためにマグネシウムサプリメントを摂取する重要性
本疾患では、特に高齢者が自己転倒する、あるいはベッドから転落して発症することも多いため、日常的に骨密度を測定して骨粗鬆症があるかどうか確認することが重要な視点となります。
その際に、骨量や骨密度が低いケースでは、食事療法としてカルシウム、ビタミンDやビタミンKなどのビタミン群、そしてマグネシウムを積極的に摂取することが重要であると言われています。
また、体幹部や足を含めて下半身の筋肉をなるべく鍛えて転倒を防止するように運動療法を実践する、あるいは内服薬やカルシトニン製剤を用いた注射療法などの治療を実行する場合もあります。
世界保健機関によると、「骨粗鬆症は低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴としており、骨の脆弱性が増大して骨折の危険性が増大する疾患である」と定義されています2)。
腰椎圧迫骨折を引き起こすリスクの一因とされている骨粗鬆症は予防が非常に重要な病気であり、常日頃からカルシウムを十分に摂取するだけでなく、マグネシウムを中心にビタミンDやビタミンK類、あるいはリン、適量のたんぱく質を摂取することも必要です。
骨はタンパク質であるコラーゲン成分にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが固着して成長しており、骨密度を高めるためにはタンパク質やマグネシウムなどの主要ミネラルもたくさん摂取する必要があると言えます。
そもそも人間の身体の内部ではマグネシウムという成分は通常では多くの酵素を活性化する重要な役割を担っており、生命維持に必要な様々な代謝機構に関与しているファクターと言われています。
そして、昨今注目を浴びている「サプリメント」は、ある成分が濃縮されて、錠剤やカプセルなど、通常の食品とは違う形をして作られた製品を指しており、最近ではサプリメントを通じてマグネシウムを補給する方法は一般的に普及され多くの人が利用しています。
マグネシウム不足を解消するために、1日で約300mg程度の摂取が到達目標として掲げられていますが、この到達量を食品だけで全てまかなうとなるとかなり大変であることからマグネシウム摂取手段として市販のサプリメントを工夫して利用することが期待されます。
腰椎圧迫骨折しないためにも最低限のマグネシウムを摂取することが重要であり、その手段としてサプリメントを上手く活用する必要があると考えられます。
【まとめ(おわりに)】
腰椎圧迫骨折という病気は腰椎の椎体に外部から圧力がかかることで生じる骨折であり、我慢できないほどひどい腰痛症状を訴える人が多く、特に高齢女性に多く見られる疾患であると言われています。
基本的な治療方法は、コルセットで腰部を固定して日常生活においても姿勢を矯正する、または症状が強い際には安静を保持するなどの保存療法が実践されますが、対症療法でも治療効果が十分に得られないケースや神経症状が顕著である場合は手術療法も考慮されます。
本疾患の背景には骨粗鬆症の存在が無視できず、いわゆる骨粗鬆症を未然に防ぐことが自然と腰椎圧迫骨折の予防にも繋がっていきます。
したがって、普段からバランスの良い食事をとることや骨の重要な構成成分であるカルシウムなどのミネラル成分をこまめに摂取することで骨粗鬆症にならないようにまずは努めましょうね。
そして、私たちのからだの中に確かに存在して色々な生命活動をサポートしてくれているミネラルの中でも、特に現代の人々における心身の健康のために欠かせない代表格が、「マグネシウム」であると言われています。
近年の調査によると約3割の方が健康食品を毎日利用しており、さらに8割程度の方が実際にこれまでにサプリメント製品を利用した経験があるというのです。
カルシウムのみならずマグネシウムは人体を構成するミネラルの中でも必要量が最も多く、現代人の食生活では不足しやすい栄養素であるので、自分にあったサプリメントを選択して補給するように意識しましょうね。
今一度日々の食事内容や生活習慣スタイルを見直しながら、サプリメントもうまく活用してマグネシウム成分の摂取方法を工夫することによって腰椎圧迫骨折を引き起こさないためにも有意義な生活をみんなで過ごしましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
- 河合 茂明, 山崎 広之, 藤田 麻耶, 舟尾 友晴, 矢部 充英, 西川 精宣:腰椎圧迫骨折に対する椎体穿孔術後に新たな神経根症状の出現が疑われた1症例. 日本ペインクリニック学会誌. 2020 年 27 巻 1 号 p. 70-74.
DOI https://doi.org/10.11321/jjspc.19-0007
- 水戸 奈津美, 佐藤 綾香, 佐藤 明広, 伊勢田 大地, 横山 蓮, 渡邉 好孝:理学療法士から広める骨粗鬆症の予防―骨粗鬆症リエゾンサービスと骨粗鬆症マネージャーの紹介―. 理学療法の歩み. 2021 年 32 巻 1 号 p. 35-40.
DOI https://doi.org/10.11342/mpta.32.35
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。