【はじめに】
尿路結石症とは、腎臓で作られた尿の通り道である腎盂腎杯、尿管、膀胱、尿道などの部分に結石ができることです。
尿路結石の発症には食生活が大きく関係していると分かってきています。
そして、マグネシウムは尿路結石の生成を阻害すると言われており、特に結石患者さんのマグネシウム摂取量は普段から非常に少なく、主に日常生活において野菜不足が背景にあると考えられています。
現在では、多種多様な症状に対してマグネシウムをいかに適用するなど数多くの研究が行われています。
これまでの知見から、マグネシウムの欠乏が急性心筋梗塞や脳血管疾患などの生活習慣病に加えて尿路結石に関する発症などに関与していることが判明しつつあります。
また、昨今では多種類のミネラルやビタミンなどを同時に効率よく補うことができるサプリメントによってマグネシウム成分を摂取する人も多く存在しています。
今回は、尿路結石にならないためにマグネシウムのサプリメントを摂取する重要性などについて説明します。
尿路結石になる原因とは?
尿路結石については、かつては多くの場合でカルシウム自身が結石を作る原因であると考えられていました。
しかし現代では、カルシウムよりも「シュウ酸」のほうが結石を作りやすいことがわかってきました。
特に日本人の場合は、シュウ酸カルシウム結石症と呼ばれるものが圧倒的に多いです。
シュウ酸は体内で生成されるものも一部ありますが、体外から摂取するものもあります。
日々の生活における食事内容などでこのシュウ酸を摂りすぎることによって結石の主な原因に繋がるといわれています。
具体的にシュウ酸を多く含む食品の代表として、ほうれん草、コーヒー、紅茶、コーラなどが挙げられます。
尿路結石が5年以内に再発する確率は約5割と言われています。
近年では、尿路結石の罹患率や再発率は上昇傾向にあり、この最大の原因としては生活習慣や食生活の欧米化によると考えられていることから普段の食事療法による予防が重要な観点となります。
尿路結石を抱える患者さんの特徴として、運動不足で肥満傾向、あるいは動物性タンパク質や脂肪の摂取過多、そしてカルシウムや牛乳摂取頻度の低下などが考えられます。
動物性脂肪を多く摂りすぎると、腸内の脂肪酸が増えてカルシウムと結合するためにシュウ酸がカルシウムと結合できなくなり、このシュウ酸が吸収されて尿中へ排出されて結石ができやすくなると考えられています。
また、野菜・海藻類の摂取不足で夕食中心の食生活を送り夕食から就寝までの時間が短いなどの項目が尿路結石症に繋がりやすいと伝えられています。
【第2章】尿路結石にならないためにマグネシウムサプリメントを摂取する重要性
仮に結石病変が尿管にひっかかると、尿管の動きとともに激しい側腹部の痛みが生じます。
さらに、尿が下流の膀胱へと流れないがために上流で尿が貯留して淀んでしまうため、腎盂腎炎などの尿路感染症を引き起こして腎臓の機能障害などが生じることになります。
万が一、尿路結石を発症した際の治療は、結石の大きさや症状によって異なります。
本疾患の治療に関しては、多くの場合には経過観察、薬物治療、そして専用の超音波装置を用いて体外から体内の結石を砕く治療法、あるいは手術治療(多くは内視鏡手術)に大別されています。
尿路結石症にならないために、その罹患予防の観点からまずは十分な水分を摂ることが重要な視点となります。
なぜならば、水分をあまりとらないと脱水状態になって、尿が濃縮されて尿路結石ができやすくなると考えられているからです。
食事以外にも1日だいたい2L以上の水分補給を心がけて、1日尿量を2リットル以上とすることで、結石再発リスクを減少できるという報告もあります。
特に脱水になりやすい夏場の暑い時期や、入浴後や運動後の水分補給が大切です。
また、プリン体の有無にかかわらずアルコール自体の代謝に関連して血清尿酸値を上昇させるので、種類を問わず過剰なアルコールの摂取は控えましょう。
血清尿酸値への影響を最低限度に抑えるための目安となる量は、1日あたりで大体日本酒1合、またはビール500ml、あるいはウイスキー60ml程度とされています。
ワインの場合には、カルシウムやマグネシウム、カリウムが多く含まれており、ワイン摂取が結石発生を減少させるという見地もあるので、脱水にならないように気を付けて摂取すればよいでしょう。
マグネシウムは尿路結石の生成を阻害する作用があり、野菜や海草類はマグネシウムを多く含んでいるために尿路結石症にならないためにはこれらの食品の摂取が望ましいと考えられます。
そして、人間の身体の内部では、マグネシウムという成分は通常では多くの酵素を活性化する重要な役割を担っており、生命維持に必要な様々な代謝機構に関与しているファクターと言われています。
マグネシウムの血中絶対値については一般に広く普及して行われている検査項目ではなく、時に異常値が見過ごされやすい要素とも言われます1)。
最近では必須ミネラルの栄養素である「マグネシウム」が慢性的に摂取不足に陥っている方々が増えているようですが、一方では普段からサプリメントを摂取する重要性について徐々に周知されています。
マグネシウムは、主に果物や野菜、または経口サプリメントを組み合わせた食事成分として体内に摂取されており、特に経口マグネシウムサプリメントでは成人1日あたりで約350 mg前後の摂取量以下であればほぼ安全域と考えられています2)。
これらのことからも、尿路結石にならないためにも最低限のマグネシウムを摂取することが重要であり、その手段としてサプリメントを上手く活用する必要があると言えます。
【まとめ(おわりに)】
通常では、腎臓で濾過された尿は、尿管を通過し膀胱へ溜められて尿道を通って排泄されますが、この腎臓から膀胱、そして尿道の間にできる結石を、通常尿路結石と言います。
小さな結石が腎臓にできても無症状な場合がほとんどですが、この結石が腎臓から流れ出た途中で詰まってしまうと、わき腹~下腹部などの激しい痛みや血尿などの症状が出現することになります。
過去に厳しい食事指導を受けたことのある方は少ないと思いますが、尿路結石を予防するために、規則正しくバランスの良い食生活と十分な水分摂取を日常的に心がけるようにしましょうね。
そして、出来る限り夕食を食べすぎず、寝る前に大量の食事をしないようにしましょう。
夕食中心の食生活は、就寝後の尿中へのカルシウム、シュウ酸、尿酸などの結石形成を促進させる物質を過剰に排泄することになります。
さらに、私たちのからだの中に確かに存在して色々な生命活動をサポートしてくれているミネラルの中でも、特に現代の人々における心身の健康のために欠かせない代表格が、「マグネシウム」です。
マグネシウムは生体内の約300種類の酵素をサポートする補助酵素としての重要な役割を果たしていることは周知の事実です。
また、サプリメントを日常的に上手に活用している人々は、サプリメントを利用しながら同時に生活習慣スタイルや食生活内容も一緒に見直していることがほとんどです。
ですから、日々の食事内容もさることながら、サプリメントをうまく活用してマグネシウムの日常的な摂取方法を工夫することによって尿路結石にならないように有意義な生活を送りましょうね。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
1)磯崎泰介ら:マグネシウム・微量元素の代謝異常.日本内科学会雑誌.2006年95巻5号.p846-852.
DOI https://doi.org/10.2169/naika.95.846
2)Guerrera MP, Volpe SL, Mao JJ. Therapeutic uses of magnesium. American Family Physician 80:157-162, 2009.
DOI http://www.aafp.org/afp/2009/0715/p157.html
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。