【はじめに】
大腿骨頭壊死症は大腿骨頭部の阻血性疾患であり、本邦での年間発生者はおよそ2200人程度と推定されております。
この疾患の発症リスクとしては、一つにはステロイドによる加療歴やアルコールとの関連性が報告されています1)。
大腿骨頭壊死とは、人体で一番大きな球状の関節である股関節を構成する大腿骨頭の一部に血流が通わなくなり、骨組織が壊死して死んでしまった状態を指します。
大腿骨頭壊死症になると、保存的な治療以外にも手術による治療が行われることがあります。
基本的には患者さん自身の股関節を温存するように優先的に考えますが、症状や重症度によっては人工物で股関節を置き換える手術療法を選択することもあります。
そして、現在のところでは多種多様な症状に対してマグネシウムをいかに適用するなど数多くの研究が行われています。
これまでの知見から、マグネシウムの欠乏が急性心筋梗塞や脳血管疾患などの生活習慣病に加えて関節リウマチをはじめとした骨格系疾患に関する発症などに関与していることが判明しつつあります。
また、昨今では多種類のミネラルやビタミンなどを同時に効率よく補うことができるサプリメントによってマグネシウム成分を摂取する人も多く存在しています。
近年では、サプリメントなどの健康食品の消費量は年々増加しており、いまや約6割もの人が利用しているとも伝えられています。
今回は、大腿骨頭壊死にならないためにマグネシウムサプリメントを摂取する重要性について説明します。
【第1章】大腿骨頭壊死になる原因とは?
大腿骨の一部分を構成している大腿骨頭は、股関節を形成する部位としてとても重要な役割を果たしています。
大腿骨頭は丸みを帯びた形状をしており、この大腿骨頭が寛骨のくぼみである臼蓋部分にはまり込むことで股関節は形成されています。
大腿骨頭壊死では、大腿骨頭への血流が十分量に循環されなくなり骨組織が死んでしまいます。
そして、大腿骨頭壊死症を発症すると大腿骨頭の正常な丸みが変形を来たして、正常な股関節としての機能を果たせなくなります。
大腿骨頭壊死は血流障害から発生する病気ですが、いくつかの危険因子がこれまでの研究によって指摘されています。
例えば、股関節の大腿骨頭壊死を引き起こす一因として、膠原病の合併症として発生するケースが多いと報告されています。
膠原病のなかでも特に大腿骨頭壊死と関連性が深いのは、全身性エリテマトーデスという病気です。
実際に、15歳以上の全身性エリテマトーデスを罹患している患者さんでは、大腿骨頭壊死の発生数が急増することが判明しています。
また、ステロイド大量服薬なども本疾患の発生危険因子であると考えられています。
ステロイドは膠原病や白血病などの数多くの病気で使用されることのある重要な薬剤であり、1日に40㎎以上服用し続けると大腿骨頭壊死を患うリスクが上昇するという研究結果があります。
その他にも見逃してはいけない大腿骨頭壊死の原因としては、アルコールの過剰摂取に伴う低栄養状態、年齢、性別(男性が女性よりも発生しやすい)などが考えられています。
さらに、発症の危険因子として体重のかかる部分に占める壊死した骨の割合が大きい方が潰れやすいことも指摘されています。
【第2章】大腿骨頭壊死にならないためにマグネシウムサプリメントを摂取する重要性
大腿骨頭壊死の診断は、レントゲン写真やMRI検査、シンチグラムといった画像検査が主体になります。
特に、MRI検査では大腿骨頭が潰れるという顕著な変化を生じる前段階で壊死を起こしている状況においても画像的な異常所見を評価することが可能です。
大腿骨頭壊死では、保存的療法と手術療法が存在しますが、病状の進行度や症状などに応じて治療方針が決定されることになります。
もし、壊死範囲がごく小さい場合や大腿骨頭壊死の自然経過が悪くないと判断されるケースでは、手術を選択せずに保存的な治療で様子をみます。
通常の保存的な治療では、体重を過度に増やさず肥満を防止する、杖を使用して長距離歩行を出来る限り控える、また重いものを持ち上げることを禁止するなどの指導が行われます。
まずは、大腿骨頭壊死という病気がいかなるものかを理解して、適度な運動と安静のバランスを考えながら、疾患予防の為にも食生活などを含めて規則正しい生活習慣を送ることが重要です。
その中で、マグネシウムは、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、骨形成や筋骨格の安定度を正常に保つのに必要な栄養素です。
生体の微妙な恒常性の維持をしている観点から、マグネシウムという物質は広範囲にわたって我々の身体において深く機能していると言えます2)。
近年になって特に注目を浴びている「サプリメント」は、ある成分が濃縮されて、錠剤やカプセルなど、通常の食品とは違う形をして作られた製品をいいます。
ある調査によるとサプリ製品を購入する際に重要視する点として、過半数以上が「効果や有効性」と答えていたそうですが、その効き目が顕著に出現するまでの期間というのは個人差のみならず、サプリの種類や目的によっても異なりますので念頭に置いておきましょう。
最近では必須ミネラルの栄養素であるマグネシウム成分が慢性的に摂取不足に陥っている人々が増加しているようですが、普段からサプリメントを摂取する利点などについては少しずつ周知されてきています。
ですから、大腿骨頭壊死にならないためにも最低限のマグネシウムを摂取することが重要であり、その手段としてサプリメントを上手く活用する必要があると考えられます。
【まとめ(おわりに)】
言うまでもなく股関節は、自分自身の体重を支える非常に重要な関節であります。
大腿骨頭壊死は、股関節を構成する大腿骨頭という部分に血流がいきわたらなくなることで、骨の組織が壊死してしまった状態です。
一般的には、骨頭壊死部の病変の大きさは劇的には悪化せずにほぼ変わらないと考えられますが、時に壊死部が潰れなければ病変部が縮小する場合もあります。
かつては、股関節の大腿骨頭壊死症は「一度壊死が起きたら治らない」と言われていた時代があり、上手に治療や予防をして壊死部分が形成されないように普段から注意しておく必要があると考えられます。
そのような背景のなかで、私たちのからだの中に確かに存在して色々な生命活動をサポートしてくれているミネラルの中でも、特に現代の人々における心身の健康のために欠かせない代表格が、「マグネシウム」であると言われています。
マグネシウムは生体内の約300種類の酵素をサポートする補助酵素としての重要な役割を果たしていることは周知の事実です。
現在のところ、製薬会社や食品会社から色々な微量元素のサプリメントが販売されており、特にマグネシウム成分を含んでいるサプリメントでは酸化マグネシウムやクエン酸マグネシウムなどの化合物として多彩な形で市販店などにおいて入手することが出来ます。
したがって、日々の食事内容を見直しながら、サプリメントをうまく活用してマグネシウム成分の摂取方法を工夫することによって大腿骨頭壊死にならないためにも有意義な生活をお過ごしください。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
1)上島圭一郎、藤岡幹浩、久保俊一ら:特発性大腿骨頭壊死症.関節外科.31巻.220-226. 2012.
2)生吉裕:マグネシウム製剤の臨床治療への有効性. 東京未病研究会雑誌. 1995 年 1 巻 1 号 p. 20-28.
DOI https://doi.org/10.11288/mibyou1995.1.20
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。