【はじめに】
脂質異常症とは、血液中に存在する脂肪分が多すぎる、あるいはその逆に少なすぎる状態を指しており、従来は高脂血症と呼ばれていましたが病態を適切に表現していない理由から2007年に日本動脈硬化学会が診断名を「脂質異常症」に修正した経緯があります。
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を「脂質異常症」と呼んでおり、その中にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度測定値の異常があることが知られています1)。
本疾患は心筋梗塞や脳卒中などを代表とする動脈硬化によって発症するリスクが高くなる血管病に関連したいわゆる生活習慣病の引き金になると信じられているのです。
そして、マグネシウムはカリウムに次いで細胞質内に多く存在する電解質成分であることが知られており、マグネシウムは 300以上の酵素活性に必要なミネラルです。
普段からミネラル摂取を格段に意識している方々は皆目ほとんどおらず、特に日本人のマグネシウム平均摂取量も諸外国同様に減少していますが、脂質異常症を予防するためにもマグネシウムは非常に重要な要素であると考えられています。
さらに近年では効率よく簡便にマグネシウム成分を補うことができるマグネシウムサプリメントやマグネシウムクリームという製品を日常的に活用する人も数多く存在しています。
今回は、脂質異常症にならないために普段からマグネシウム製品を取り入れる重要性などについて説明します。
【第1章】脂質異常症になる原因とは?
日本動脈硬化学会のガイドラインによると、採血結果にて、LDLコレステロールが140mg/dL以上の場合に「高LDLコレステロール血症」、120~139mg/dLの場合に「境界域高LDLコレステロール血症」と考えられています。
また、HDLコレステロールが40mg/dL未満の場合に低HDLコレステロール血症、トリグリセライドが150mg/dL以上の場合に高トリグリセライド血症と診断されます。
脂質異常症の多くは、不規則な生活習慣によって起こると言われており、ほとんどが日々における運動不足、油物など過剰に摂取する偏った食事、肥満体形などが主たる原因とされています。
ごく稀には、生まれながらの先天的な要因が発症に関連することもあり、遺伝子異常が原因で血液中にコレステロールや中性脂肪が異常に蓄積されてしまう家族性高コレステロール血症などが例として知られています。
また、他の病気や服用している薬の影響で、血液中の脂質のバランスが悪くなることによって発症する続発性の脂質異常症も周知されており、糖尿病、甲状腺機能低下症、腎臓病の一つであるネフローゼ症候群などが関連疾患として知られています。
原因となる薬剤として代表的なものは、ステロイドホルモン、β遮断薬(抗不整脈薬)、あるいはピルなどの経口避妊薬が脂質異常症の発症リスクを向上させる要素として考えられています。
【第2章】脂質異常症にならないためにマグネシウム製品を取り入れる重要性
脂質異常症が認められる際には心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化に関連した疾患を引き起こすと伝えられており、動脈硬化性疾患は一度発症すると日常生活に支障が出るのみならず総死亡数の約2割強を占める重篤な病気です。
動脈硬化性疾患と呼ばれる病気の中には、年齢、性別、糖尿病、高血圧、喫煙歴なども危険因子に含まれていますが、脂質異常症はこのような動脈硬化のリスクファクターのなかでも特に治療対象とすべき重要な要素であることがこれまでの研究で示唆されています。
これまでの研究からマグネシウムが栄養学上極めて重要な主要ミネラルであることやマグネシウム成分の食事からの摂取量が食の欧米化によって激減していることが多くの生活習慣病の中でも特に脂質異常症の発症と密接に関連していることが認知されてきました2)。
マグネシウムは、人体にとって必須のイオンとされており、日々の健康と生活を支えて維持するのにとても有益な役割を有しています。
原則として、マグネシウムなどのミネラルそのものは基本的には体内で十分な量を作ることができませんから、食品などから摂取する必要があります。
マグネシウムはアオノリ、昆布、ヒジキなどの海藻類、大豆、納豆などの豆類、しらす干し、干しエビ、アサリなどの魚介類、アーモンドなどの種実類などに多く含まれていると伝えられています。
ところが、最近では必須ミネラルの栄養素である「マグネシウム」が本邦でも慢性的に摂取不足に陥っている人が増えていると頻繁に聞かれます。
万が一、食事などで十分な量を取れない場合には市販で販売されて容易に手に入るサプリメントを活用する方法もあります。
最近では日常生活においてサプリメントを摂取する重要性は徐々に周知されており、成人に関してはマグネシウム(クエン酸マグネシウムや塩化マグネシウム)の成分を1日当たりに概ね400 mg前後を摂取することが推奨されています。
そして、これまでにオーソモレキュラー医学会はマグネシウム摂取の必要性を度々に渡って強く訴えており、極端な緩下作用を生じることなく適切な用量でマグネシウムを取り入れる方法として経皮マグネシウムを推奨しています。
特にマグネシウム不足が叫ばれている本邦の日本人では、食事やサプリメント以外の方法で毎日でも使用できる経皮マグネシウムクリーム製品が勧められますね。
総合的に考慮すると、脂質異常症を予防するためには普段から意識して食べ物やサプリメント、あるいは経皮吸収型クリーム製品などからマグネシウム成分を摂取する必要性があると言えます。
【まとめ(おわりに)】
脂質異常症はそれだけでは基本的に症状が現れない病気ですが、そのまま放置していると、動脈硬化が進行して心筋梗塞、脳梗塞などの病気のみならず脂肪肝や急性膵炎などの疾患を引き起こしやすくなると伝えられています。
脂質異常症と診断された際には、動脈硬化に関連する疾患を未然に予防するために日々の生活習慣の改善をすることが推奨されており、禁煙する、過食に注意する、適正体重を維持する、魚や緑黄色野菜、海藻、大豆製品などの摂取量を増やすなどが求められます。
また、普段からアルコールの過剰摂取を控える、毎日合計30分以上を目標に有酸素運動を実践するなどもあわせて勧められています。
そして、我々の体内ではミネラル成分が様々な身体機能を正常に保つために多彩な役割を担っていますが、中でも近年において生活習慣病のみならずクローン病の予防対策として重要な位置づけとして考えられているのが「マグネシウム」です。
もし周りに脂質異常症に関して心配している人がいたら、十分にバランスの取れた食べ物を毎日の中で規則正しく取り入れることを推奨すると同時に、特にマグネシウムを中心としたミネラル成分の栄養素を前向きに摂取するように教えてあげて下さいね。
日々の食事内容やサプリメント栄養、経皮吸収型クリームなどを上手に活用してマグネシウムの摂取方法を工夫することで脂質異常症にならないように実り多い有意義な生活を送りましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。
引用文献
- 厚生労働省HP:e-ヘルスネット(生活習慣病予防のための健康情報サイト)より
DOI https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-004.html
- 横田邦信:マグネシウムと脂質異常症.臨床栄養(臨時増刊号).113:556-557,2008.
DOI https://www.ishiyaku.co.jp/magazines/eiyo/EiyoArticleDetail.aspx?BC=740730&AC=1326
著者について
■専門分野
救急全般、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
■プロフィール
平成19年に大阪市立大学医学部医学科を卒業後に初期臨床研修を2年間修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科後期臨床研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科後期臨床研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科医員として研鑽、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、平成26年より救急病院で日々修練しております。
■メッセージ
私はこれまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。日々の診療のみならず学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行っております。その他、学校で救命講習会や「チームメディカル:最前線の医療現場から学ぶ」をテーマに講演しました。以前にはテレビ大阪「やさしいニュース」で熱中症の症状と予防法を丁寧に解説しました。大阪マラソンでは、大阪府医師会派遣医師として救護活動を行いました。